リッカチ微分方程式の解
定義
下記の1階非線形微分方程式をリカッチ方程式Ricatti equationという。
$$ y^\prime = P(x)y+Q(x)y^2+R(x) $$
説明
$y_{1}$を既に知ってる特別解particular solutionだとすると、一般解は$y=y_{1}+u(x)$の形で表される。この時$u(x)$は任意の定数で、$n=2$の時のベルヌーイ微分方程式を解いて得られる。
解答
リカッチ方程式は見た目があまりにも複雑で解くのが難しい。だから、簡単なトリックを使って、私たちが解きやすい形に変えてから解かないといけない。
ステップ 1.
$y_{1}$を任意の特別解とする。この特別解を得る方法は特に決まっておらず、直感や洞察、または何度もの試みで得る必要がある。$y$に$2$を入れればいいのかな?$3x$を入れればいいのかな?という感じで得る。そして、一般解を$y=y_{1}+u(x)$の形と仮定しよう。$u(x)$は任意の定数だ。
ステップ 2.
与えられた微分方程式に$y=y_{1}+u$を代入すると
$$ \begin{align*} && y_{1}^\prime + u^\prime = P(y_{1}+u) + Q(y_{1}+u)^2 +R \\ \implies && y_{1}^\prime + u^\prime = P(y_{1}+u) + Q(y_{1}^2 +2y_{1}u +u^2) +R \end{align*} $$
右辺を整理すると
$$ y_{1}^\prime + u^\prime = \left( Py_{1} + Qy_{1}^2 + R \right) +\left( P + 2Qy_{1} \right) u +Qu^2 $$
ステップ 3.
この時$y_{1}$が与えられた微分方程式の解であるため$y_{1}^\prime=Py_{1}+Qy_{1}^2+R$を満たす。従って、左右の共通項を消去すると以下のようになる。
$$ u^\prime = \left( P + 2Qy_{1} \right) u +Qu^2 $$
これはベルヌーイ微分方程式で$n=2$の時と同じ形だ。だから、ベルヌーイ微分方程式の解法で$u(x)$を求めることができる。そうすれば、最終的に与えられた微分方程式の一般解$y=y_{1}+u(x)$が得られる。
■
例題
微分方程式$y^\prime = 2- 2xy+y^2$を解け。
$y$に$2x$を代入すると成り立つため、$y_{1}=2x$と置くことができる。そうすると、一般解は
$$ y=y_{1}+u(x)=2x+u \\ y^\prime=2+u^\prime $$
与えられた微分方程式に代入すると
$$ \begin{align*} && 2+u^\prime &= 2 – 2x(2x+u)+(2x+u)^2 \\ \implies && 2+u^\prime &= 2-4x^2-2xu+4x^2+4xu+u^2 \\ \implies && u^\prime &= 2xu+u^2 \\ \implies && u^\prime –2xu &= u^2 \end{align*} $$
つまり、ベルヌーイ方程式で$n=2$の場合だ。
$$ u^\prime + (1-n)pu=q(1-n) $$
両辺を$u^2$で割ると
$$ u^{-2}u^\prime – 2xu^{-1}=1 $$
ここで、$w \equiv u^{1-n}=u^{-1}$と置換してベルヌーイ方程式を解くと$\dfrac{dw}{dx}=-u^{-2}\dfrac{du}{dx}$になるので
$$ \begin{align*} && -w^\prime –2xw &= 1 \\ \implies && w^\prime + 2xw &= -1 \\ \implies && w &= e^{-x^2} \left[ -\displaystyle \int e^{x^2}dx+C \right] \end{align*} $$
しかし、上で$w =u^{-1}$と置換したので
$$ u=\dfrac{e^{x^2}}{C- \displaystyle \int e^{x^2} dx} $$
従って、最終的に一般解は次のようになる。
$$ y=y_{1}+u(x)=2x+\dfrac{e^{x^2}}{C- \displaystyle \int e^{x^2}dx} $$
■