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復元力と一次元単純調和振動子 📂古典力学

復元力と一次元単純調和振動子

単純調和運動1

バネに吊り下げられた物体の運動を考えてみよう。バネの復元力によって前後に振動する。このような運動を調和振動と呼ぶ。調和振動を表す関数であるsin\sincos\cosが、昔は調和関数と呼ばれたからだ。調和振動の中でも、摩擦力や他の外力が全くなく、バネの復元力のみによって運動する場合を単純調和振動という。まず、バネによる復元力がどのように表されるかを見てみよう。V(x)V(x)を一次元単純調和振動子のポテンシャルエネルギーとしよう。そして、これが多項式の無限和、級数で表されると仮定しよう。すると、以下のように表せる。

V(x)=a0+a1x+a2x2+a3x3+ V(x)=a_{0} + a_{1}x + a_2x^2+ a_{3}x^3 + \cdots

だけど、二つのポテンシャルの差だけが物理的意味を持つから、定数項は00としてもよい。平衡点を00とするのと同じだ。また、dVdx=F(x)-\dfrac{dV}{dx}=F(x)で復元力はF(0)=0F(0)=0だから、V(0)=0V^\prime(0)=0となる。つまり、一次項の係数は00でなければならない。だから、復元力のポテンシャルは次のようになる。

V(x)=a2x2+a3x3+ V(x)=a_2x^2+a_{3}x^3+\cdots

xxが十分に小さいとき、三次項以上の項は無視できる。最終的に復元力を求めると、以下のようになる。

F(x)=dVdx=2a2x=kx  (k=2a2) F(x)=-\dfrac{dV}{dx}=-2a_2x=-kx \ \ (k=2a_2)

この時、kkを弾性係数あるいはバネ定数という。そして、F(x)=kxF(x)=-kxフックの法則Hooke’s law2という。今、復元力に関する運動方程式を解こう。F=ma=mx¨F=ma=m\ddot{x}で復元力はF=kxF=-kxなので、次の式が得られる。

mx¨=kx    mx¨+kx=0    x¨+kmx=0 \begin{align*} && m \ddot{x} & =-kx \\ \implies && m \ddot{x} + kx &= 0 \\ \implies && \ddot{x} + \dfrac{k}{m}x &= 0 \end{align*}

この時、ω02km{\omega_{0}}^2 \equiv \dfrac{k}{m}と置き換えよう。二乗に置き換える理由は、最終式の形を単純にするためだ。ω0\omega_{0}を系の角振動数と呼ぶ。減衰振動システム、強制振動システムと区別するために固有角振動数あるいは固有振動数とも呼ぶ。今、運動方程式は以下のようになる。

x¨+ω02x=0 \ddot{x} + {\omega_{0}}^2x=0

係数が負の2次微分方程式の解法

以下のような2次微分方程式 d2Xdx2=α2X \dfrac{d^{2}X}{dx^{2}} = -\alpha^{2}X の解は、次のようになる。

X(x)=Aeiαx+Beiαx X(x) = Ae^{i\alpha x} + B e^{-i \alpha x}

そして、以下のような解を得る。

x(t)=A1eiω0t+A2eiω0t=A3cosω0t+A4sinω0t=Acos(ω0t+ϕ) \begin{align*} x(t) &=A_{1}e^{i\omega_{0} t}+A_2e^{-i\omega_{0} t} \\ &=A_{3}\cos \omega_{0} t+ A_{4}\sin \omega_{0} t \\ &=A \cos (\omega_{0} t + \phi) \end{align*}

ここで、A1A_{1}A2A_{2}A3A_{3}A4A_{4}AAは、それぞれ任意の複素数あるいは実数定数だ。普通、三番目の式のように、コサインやサイン関数の形で表されることが多い。

一緒に見る


  1. Grant R. Fowles and George L. Cassiday, Analytical Mechanics (7th Edition, 2005), p84-86 ↩︎

  2. フックの法則とも呼ばれる。 ↩︎