完全微分方程式の解法
📂微分方程式完全微分方程式の解法
解答
与えられた完全微分方程式 M(x,y)+N(x,y)dxdy=0の解は次の通りだ。
ステップ 0.
与えられた微分方程式が完全であるので、ψx=M, ψy=N, ψ=cを満たすψが存在する。
ステップ 1.
ψxを積分する。その後得たψをyで微分し、h′(y)を求める。ステップ 1を含む全過程は、xとyに対して逆に行っても構わない。
⟹⟹ψψyh′(y)=∫ψx=∫M(x,y)dx+h(y)=∂y∂(∫M(x,y)dx)+h′(y)=N(x,y)=N(x,y)−∂y∂(∫M(x,y)dx)
ステップ 2.
求めたh′(y)を積分してh(y)を得た後(eq1)に代入する。
⟹h(y)ψ(x,y)=∫h′(y)dy=∫N(x,y)dy−∫[∂y∂(∫M(x,y)dx)]dy=∫M(x,y)dx+∫N(x,y)dy−∫[∂y∂(∫M(x,y)dx)]dy
ステップ 3.
最終的にψを陰関数の形で表すと、微分方程式の解となる。
∫M(x,y)dx+∫N(x,y)dy−∫[∂y∂(∫M(x,y)dx)]dy=c
■
例題
1
微分方程式(2x3y+4xy)+(21x4+2x2+3y2)y′=0を解け。
M(x,y)=2x3y+4xyN(x,y)=21x4+2x2+3y2
すると、
My=2x3+4x=Nx
つまり、与えられた微分方程式は完全である。そのため、
ψx=M,ψy=N
を満たすψ=cが存在する。
⟹⟹⟹⟹ψψyh′(y)h(y)ψ=∫Mdx=∫(2x3y+4xy)dx=21x4y+2x2y+h(y)=21x4+2x2+h′(y)=N(x,y)=21x4+2x2+3y2=3y2=∫3y2dy=y3=21x4y+2x2y+h(y)=21x4y+2x2y+y3
したがって、一般解は21x4y+2x2y+y3=cの陰関数の形である。
■
2
微分方程式(3xy+y2)+(x2+xy)y′=0を解け。
M(x,y)=3xy+y2, N(x,y)=x2+xy
すると、
My=3x+2y=2x+y=Nx
つまり、与えられた微分方程式は完全ではない。したがって、完全微分方程式の解法を使うことはできない。本当にダメか確認しよう。完全微分方程式ではないが、
ψx=M(x,y)=3xy+y2,ψy=N(x,y)=x2+xy
を満たすψが存在すると仮定してみる。完全微分方程式の解法に従うと、
⟹ψψyh′(y)=∫ψxdx=∫3xy+y2dx=23x2y+xy2+h(y)=23x2+2xy+h′(y)=N(x,y)=x2+xy=−21x2−xy
この結果はh′(y)がyにのみ依存する関数であるという事実と矛盾する。したがって、完全微分方程式の定義を満たすψ(x,y)は存在しない。
■