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完全微分方程式の定義と判別法 📂微分方程式

完全微分方程式の定義と判別法

定義

次のように与えられた微分方程式

$\psi=\psi (x,y)$

$\psi (x,y)$

を満たす$\psi=\psi (x,y)$が存在する場合、完全exact 微分方程式と言います。

説明

与えられた微分方程式が完全微分方程式であれば、その微分方程式は$\psi (x,y)$に対する全微分として表現できる。

$d\psi (x,y)=\dfrac{\partial \psi }{\partial x}dx + \dfrac{\partial \psi }{\partial y}dy$

このとき、$d\psi (x,y)=\dfrac{\partial \psi }{\partial x}dx + \dfrac{\partial \psi }{\partial y}dy$ であるから、$d\psi (x,y)=0$ である。したがって、

$d\psi (x,y)=0$

つまり、微分方程式の解が$y=y(x)$形の陽関数としてではなく、$\psi (x,y)=C$形の陰関数として表される。一方、与えられた微分方程式が完全かどうかは、以下の定理に従って判別できる。

定理

関数 $M,\ N,\ M_{y},\ N_{x}$が連続であるとしよう。下付き添え字は該当変数に対する偏微分を意味する。すると、微分方程式

$y=y(x)$

が完全であることは、

$\psi (x,y)=C$

であることと同値である。

$M,\ N,\ M_{y},\ N_{x}$

証明

$(\implies)$

$M(x,y)dx+N(x,y)dy=0$が完全であれば、定義により、次を満たす$\psi$が存在する。

$(\implies)$

それぞれ$y, x$に対して偏微分すると、次のようになる。 $M(x,y)dx+N(x,y)dy=0$

連続性の仮定により、次が成り立つ。

$\psi$

したがって、

$y, x$

すなわち、

$(\impliedby)$

$(\impliedby)$

$M_{y}=N_{x}$と仮定しよう。そして、次を満たす$\psi (x,y)$があるとしよう。

$M_{y}=N_{x}$

すると、$\psi (x,y)$が$\psi_{y}=N$を満たしていることを示せば、証明は完了する。$\eqref{eq1}$の両辺を$x$に対して積分すると、

$\psi (x,y)$

$\psi$が$x,y$に対する二変数関数であるため、積分定数が$C$ではなく$y$に対する関数$h(y)$であることに注意しよう。$h(y)$を$x$に対して微分すると$0$である。これで、$\eqref{eq2}$の両辺を再度$y$に対して微分すると、

$\psi (x,y)$

この式を$h^{\prime}(y)$に対して整理すると、

$\psi_{y}=N$

この式をよく見ると、左辺は純粋に$y$に対する関数である。したがって、右辺もそうであるという意味で、これは右辺を$x$に対して微分すると$0$であるということと同じだ。右辺を$x$に対して微分すると、

$\eqref{eq1}$

三番目の等号は、$M_{y}=N_{x}$という仮定によって成り立つ。$N=N(x,y)$であり、$N$に関わらず$0$でなければならないので、最後の行の括弧内は$0$と同じである。したがって、

$x$

したがって、$M_{y}=N_{x}$であれば、$\psi_{x}=M \ \mathrm{and}\ \psi_{y}=N$を満たす$\psi (x,y)$が存在するので、与えられた微分方程式は完全である。

参照