自然対数のべき乗の積分法
公式
$$ \int {{(\ln x)}^{ n }} dx=x{{(\ln x)}^{ n }}-\int n{{(\ln x)}^{ n-1 }}dx $$
説明
積分問題を解いていると、よく見かけるタイプだ。こういう問題を部分積分でまっすぐ解くと、時間をかなり取られてしまう。まずは、ルールを見つけてみよう。 $f(n)=\int {{(\ln x)}^{ n }} dx$ (ただし、$n=1,2,3…$)とするとき
$$ \begin{align*} f(1) =& x(\ln|x|-1)+C \\ f(2) =& x{(\ln|x|)^{ 2 }-2\ln|x|+2}+C \\ f(3) =& x{(\ln|x|)^{ 3 }-3(\ln|x|)^{ 2 }+6\ln|x|-6}+C \\ f(4) =& x{(\ln|x|)^{ 4 }-4(\ln|x|)^{ 3 }+12(\ln|x|)^{ 2 }-24\ln|x|+24}+C \end{align*} $$
四乗まで積分した結果を見ると、何かのルールが見える。$f(n)$から$x(\ln|x|)^{ n } $を除いて、$f(n-1)$から積分定数を取り除いて$-n$を掛けている。
$$ f(1)=x(\ln|x|-1)+C $$
$\downarrow \ln|x|-1$に$-2$を掛ける。
$$ f(2)=x{(\ln|x|)^{ 2 }-2\ln|x|+2}+C $$
$\downarrow –2\ln|x|+2$に$-3$を掛ける。
$$ f(3)=x{(\ln|x|)^{ 3 }-3(\ln|x|)^{ 2 }+6\ln|x|-6}+C $$
$\downarrow -3(\ln|x|)^{ 2 }+6\ln|x|-6$に$-4$を掛ける。
$$ f(4)=x{(\ln|x|)^{ 4 }-4(\ln|x|)^{ 3 }+12(\ln|x|)^{ 2 }-24\ln|x|+24}+C $$
上の過程を$n$に対して一般化すると、
$$ \int {{(\ln x)}^{ n }} dx=x{{(\ln x)}^{ n }}-\int n{{(\ln x)}^{ n-1 }}dx $$
式を見ればわかるが、次数を見てすぐに書き連ねるのは難しいから、2次や3次までは丸暗記するのがいい。
参考
自然対数とeの指数は密接な関連があって、どこかで似た形がたくさん見られる。
$$ \int x^{ n }e^{ x }dx=x^{ n }e^{ x }-\int nx^{ n-1 }e^{ x }dx $$
ここで紹介した次数と異なるのは、$x$の次数だけだ。
$$ \int { \lambda x { e }^{ \lambda x }dx }=\left( x-\frac { 1 }{ \lambda } \right) {e}^{ \lambda x }+c $$
$n=1$で、$x$が定数倍の場合も、意外とよく使われる。あんな形じゃなくても、適切に変形した後に公式を適用すると、解答がずっと簡単になる。