中心極限定理の証明
📂数理統計学中心極限定理の証明
定理
{Xk}k=1nがiid確率変数で、確率分布(μ,σ2)に従うとき、n→∞で
nσXn−μ→DN(0,1)
- →Dは分布収束を意味する。
解説
統計学では、大数の法則と共に非常に有名な定理として挙げられる。頻繁に聞き、使われる定理だが、実際に証明するのは数理統計学を学ぶときぐらいだ。しかし、実際には利用度を超えて、証明自体が楽しいため、より価値のある定理だと言えるだろう。
証明
戦略:モーメント生成関数とテイラーの定理を使ったトリックを使用する。
まず、Y:=nσXn−μのモーメント生成関数M(t)=E(etY),−h<t<hが存在すると仮定する。新しい関数m(t):=E[et(X−μ)]=e−μtM(t)を定義すると
M(t)======E(etnσXn−μ)E(etσn∑i=1nXi−nμ)E(etσnX1−μ)E(etσnX2−μ)⋯E(etσnXn−μ)E(etσnX−μ)E(etσnX−μ)⋯E(etσnX−μ){E(etσnX−μ)}n{m(σnt)}n,−h<σnt<h
テイラーの定理:関数f(x)が[a,b]で連続であり、(a,b)でn回微分可能ならば、x0∈(a,b)に対してf(x)=k=0∑n−1k!(x−x0)kf(k)(x0)+n!(x−x0)nf(n)(ξ)を満たすξ∈(a,b)が存在する。
n=2にテイラーの定理を適用すると、ξが(−t,0)または(0,t)の少なくとも一方を満たすことがわかる。
したがって、m(t)は
m(t)=m(0)+m′(0)t+2m′′(ξ)t2
と表せる。一方、
⎩⎨⎧m(0)=1m′(0)=E(X−μ)=0m′′(0)=E[(X−μ)2]=σ2
であるため、m(t)=1+2m′′(ξ)t2である。ここでトリックが登場するが、右辺に2σ2t2を加えてから引くと
m(t)=1+2σ2t2+2[m′′(ξ)−σ2]t2
つまり、
M(t)={m(σnt)}n={1+2nt2+2nσ2[m′′(ξ)−σ2]t2}n
テイラーの定理により、ξは(−σnt,0)または(0,σnt)の間にあるため、n→∞のときξ→0で、したがってm′′(ξ)→m′′(0)=σ2である。そのようにして収束する項を除去すると
n→∞limM(t)=n→∞lim(1+2nt2)n=et2/2
ここで、et2/2は標準正規分布のモーメント生成関数であるため、
nσXn−μ→DN(0,1)
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