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抽象代数学における対称群 📂抽象代数

抽象代数学における対称群

定義 1

集合$A$に対する全単射$\phi : A \to A$を順列permutationと言い、$S_{A}$は$A$の全ての順列を集めた集まりであり、関数の合成$\circ$に関して$\left< S_{A} , \circ \right>$を成し、対称群symmetric groupと呼ぶ。

説明

対称群が本当に群の条件を満たしているかは、順列が全単射として定義されている点から簡単に確認できる。主な関心事は$A$が有限集合である場合、つまり$|A| = n$の場合で、通常$S_{A} = S_{n}$と表される。

三角形の対称性

順列は高校で学ぶものと本質的に異なるわけではないが、$A = \left\{ 1,2,3 \right\}$を考えてみよう。元の数が$3$個なので、対称群$S_{3}$の位数は$3! = 6$である。それほど多くないので、一つ一つ列挙してみよう。表現は行列に似ていて、$1$行にある元を$2$行にある元に対応させると考えればよい。 $$ \rho_{0} = \begin{bmatrix} 1 & 2 & 3 \\ 1 & 2 & 3 \end{bmatrix} \qquad \rho_{1} = \begin{bmatrix} 1 & 2 & 3 \\ 2 & 3 & 1 \end{bmatrix} \qquad \rho_{2} = \begin{bmatrix} 1 & 2 & 3 \\ 3 & 1 & 2 \end{bmatrix} \\ \mu_{1} = \begin{bmatrix} 1 & 2 & 3 \\ 1 & 3 & 2 \end{bmatrix} \qquad \mu_{2} = \begin{bmatrix} 1 & 2 & 3 \\ 3 & 2 & 1 \end{bmatrix} \qquad \mu_{3} = \begin{bmatrix} 1 & 2 & 3 \\ 2 & 1 & 3 \end{bmatrix} $$

図で表すと次のようになる:

  • $\rho_{k}$は$|A| = n$に対して三角形を反時計周りに$\displaystyle {{2 k \pi} \over {n}}$だけ回転させることである。ここで$\rho_{0}$は図形に何の影響も与えない回転であり、対称群では単位元になる。$\rho$を使う理由は回転rotationから来ている。 20180204\_125857.png
  • $\mu_{k}$は$k$を固定して残りの二点を交換することである。または、$1$と中心を横切る補助線に対して鏡に映したように反転させたとも表現できる。$\mu$を使う理由は鏡像mirror Imageから来ている。 20180204\_125905.png

可換群ではない

$n \ge 3$に関して、$S_{n}$は可換群ではない。

対称群の興味深い性質の一つとして可換群ではないということがある。

20180204\_134311.png

上の表は$S_{3}$の全ての操作を示しているが、例えば$\rho_{1} \circ \mu_{1} = \mu_{3}$で$\mu_{1} \circ \rho_{1} = \mu_{2}$である。つまり $$ \rho_{1} \circ \mu_{1} \ne \mu_{1} \circ \rho_{1} $$ となり、したがって$S_{3}$は可換群ではない。実際の証明は、全ての$S_{n}$がこのような例外を持つことを示す数学的帰納法を通じて十分である。


  1. Fraleigh. (2003). A first course in abstract algebra(7th Edition): p76~79。 ↩︎