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単位胞 📂物理学

単位胞

定義1 2

同じ配列を繰り返して全空間を隙間なく満たし、結晶構造を表現できる小さな単位を 単位胞unit cellと呼ぶ。単位胞内の点の相対位置を示したものを 基底basisという。

数学的定義

3次元空間 $\mathbb{R}^{3}$ に与えられた 格子 $L = \left\{ n_{1}\mathbf{a}_{1} + n_{2}\mathbf{a}_{2} + n_{3}\mathbf{a}_{3} \mid n_{i} \in \mathbb{Z} \right\}$ に対して、平行移動ベクトルを $\mathbf{t} = m_{1}\mathbf{a}_{1} + m_{2}\mathbf{a}_{2} + m_{3}\mathbf{a}_{3}$($n_{i}$ は任意の整数)とする。

全空間の 部分集合 $U \subset \mathbb{R}^{3}$ に対して、次を満たす $\left\{ \mathbf{ t}_{k} \right\}$ が存在すれば $U$ を 単位胞unit cellと定義する。

  1. $\bigcup_{k} (U + \mathbf{t}_{k}) = \mathbb{R}^{3}$
  2. $k \neq \ell$ に対して、 $(U + \mathbf{t}_{k})^{\circ} \cap (U + \mathbf{t}_{\ell})^{\circ} = \varnothing$

このとき $+$ は 集合の和、 $A^{\circ}$ は集合 $A$ の 内部である。

格子 $L$ の単位胞 $U$ 内の点を基本格子ベクトル $\mathbf{a}_{i}$ の線形結合として表した相対座標の集合を 基底basisという。

$$ \mathbf{r}_{j} = x_{j} \mathbf{a}_{1} + y_{j} \mathbf{a}_{2} + z_{j} \mathbf{a}_{3}, \quad j = 1, 2, \ldots, N $$

このとき $0 \le x_{j}, y_{j}, z_{j} \le 1$ である。

説明

簡単に言えば単位胞とは平行移動して重ね合わせることで全空間を欠けなく、重なりなく表現できる部分集合である。単位胞の条件を一般的な言葉で表すと以下の通りである。

  1. 全空間を隙間なく覆う。
  2. 相互に重ならない。

基底の各座標は実際の結晶構造における各原子の位置座標を表す。したがって基底の大きさ $| \left\{ \mathbf{r}_{j} \right\} | = N$ は単位胞内の原子数を意味する。

単位胞内にいくつの格子点があるかを示す際に重要な点がある。境界に位置する格子点は実際にその点がセル内にどれだけの割合で含まれるかを考慮する必要がある。下図 $(a)$ で左側の灰色の箱を単位胞とする。セル中心の格子点 $p_{1}$ を見よ。$p_{1}$ は単位胞 $U$ に含まれる任意の 近傍 $N_{\epsilon}(p_{1})$ を選ぶことができる。このような場合、$p_{1}$ は ‘1個’ の格子点である。

一方で単位胞の境界にある点、例えば $p_{2}$ のような点はどのような $\epsilon$ に対しても単位胞に含まれる近傍を選べない。このような場合に $p_{2}$ の個数は $1$ 未満になる。具体的には、半径が十分に小さい近傍に対して、その近傍の体積に対する単位胞との交差部分の体積の比率が $\frac{1}{4}$ であるので、この格子点は単位胞内で $\frac{1}{4}$ 個の格子点と数えられる。したがって $(a)$ の単位胞には合わせて $1 + 4\cdot\frac{1}{4} = 2$ 個の格子点が含まれている。あるいは格子全体を単位胞の平行移動で満たしたとき格子点が $n$ 個の単位胞にまたがるならば、その格子点は $\frac{1}{n}$ 個として数えればよいと理解してよい。

図 $(a)$ の単位胞は2つの格子点を含む一方、図 $(b)$ では 原始単位胞primitive unit cell と ウィグナー=ザイツ単位胞Wigner-Seitz unit cell は $1$ 個の格子点のみを含む。

任意の複雑な 結晶構造 は格子と単位胞、基底を用いて記述できる。格子は結晶構造の巨視的な反復パターンを表し、基底は局所的に原子がどのように配列しているかを表す。これを理解するための良い例がハニカム構造である。下図のようなハニカム構造は直観に反して定義上は格子ではない。しかしハニカム構造は格子と基底で表現できる。ここではハニカムの六角形内部の黒点の集合が格子であり、点線で囲まれた領域が単位胞である。そして青い点と黄色い点はそれぞれ単位胞内で座標 $(\frac{1}{3}, \frac{1}{3})$ と $(\frac{2}{3}, \frac{2}{3})$ で表され、この二つの座標が基底である。

原始単位胞

一つの格子点のみを含むセルを 原始単位胞primitive unit cellという。格子が $L = \left\{ n_{1}\mathbf{a}_{1} + n_{2}\mathbf{a}_{2} + n_{3}\mathbf{a}_{3} \mid n_{i} \in \mathbb{Z} \right\}$ のように与えられるとき、自然に 基本格子ベクトル $\mathbf{a}_{i}$ の集合が原始単位胞になる。

ウィグナー=ザイツ単位胞

基準となる格子点を一つ取り、その格子点と隣接する他の格子点との間の垂直二等分面によって囲まれた領域を ウィグナー=ザイツ単位胞Wigner-Seitz unit cellという。定義上自動的に原始単位胞になり、境界にはいかなる格子点も存在しない。

慣習単位胞

名前の通り慣習的に扱いやすく指定した単位胞を 慣習単位胞conventional unit cellという。通常は直方体(直交座標系では長方形)になるように取られる。


  1. Steven H. Simon. 고체물리학 기초(The Solid State Basics) (2019), p145-150. ↩︎

  2. Charles Kittel. Introduction to Solid State Physics (8E), p4-6. ↩︎