正作用素
導入
$T$を自己共役作用素とする。すると自己共役作用素の性質により次が成り立つ。
$$ \braket{Tx, x} \in \mathbb{R} $$
つまり上の値が正か負かについて述べることができる。これを基に正作用素を次のように定義しよう。
定義
$H$をヒルベルト空間、$T: H \to H$を自己共役作用素とする。$T$が次を満たすとき正作用素positive operatorといい、$T \ge 0$と表記する。
$$ \braket{Tx, x} \ge 0, \quad \forall x \in H $$
説明
$H$が有限次元であれば、$T$は行列となり$x$はベクトルとなる。二つのベクトルの内積は$\braket{x, y} = x^{\ast}y$であるから、正作用素である条件は次のようになる。
$$ \braket{Tx, x} = (Tx)^{\ast} x = x^{\ast} T^{\ast} x = x^{\ast} T x \ge 0 $$
つまり正作用素は正定値行列の一般化である。
性質
(a) 内積の線形性により、二つの正作用素の和も正作用素である。 $$ T \ge 0, \quad S \ge 0 \implies T + S \ge 0 $$
