結晶構造
定義1 2
原子、分子、イオンなどの配列が3次元空間で周期的に繰り返される構造を結晶crystalという。
数学的定義
線型独立な $3$次元ベクトル $\mathbf{a}_{1} \in \mathbb{R}^{3}$ ($i = 1, 2, 3$)に対して、これらの整数係数の線型結合で表されるすべての点の集合を格子latticeという。
$$ \text{Lattice} := \left\{ n_{1} \mathbf{a}_{1} + n_{2} \mathbf{a}_{2} + n_{3} \mathbf{a}_{3} \mid n_{1}, n_{2}, n_{3} \in \mathbb{Z} \right\} \tag{1} $$
このとき $\mathbf{a}_{i}$を原始格子ベクトルprimitive lattice vectorという。
説明
結晶構造は固体物質の基本的な構造単位であり、原子や分子が規則的に配列している形を指し、その形状によって物質の物理的・化学的性質に大きな影響を与える。例えば下の図で左側は炭素原子 $\ce{C}$ が六角形の平面構造で繰り返されており、これは黒鉛の結晶構造である。一方右側は同じく炭素原子 $\ce{C}$ が繰り返されているが、3次元的に配列されたダイヤモンドの結晶構造である。同じく炭素が規則的に配列しているが、その構造によって黒鉛は柔らかく電気伝導性があるのに対し、ダイヤモンドは硬く絶縁体である。

結晶構造は原子の配列が繰り返されるため数学的に容易に表現できる。定義 $(1)$ は3次元空間を基準に記述されているが、2次元や1次元の格子も同じ方式で定義される。原始格子ベクトルは原始基底ベクトルprimitive basis vectorあるいは原始並進ベクトルprimitive translation vectorとも呼ばれる。下の図3が示すように同じ格子に対して原始格子ベクトル $\mathbf{a}_{i}$ は一意ではない。

しかし結晶構造を表現するには格子だけでは不十分である。例えば下の左図や右のハニカム構造のような場合は、明らかに同じ配列が繰り返されているが、点が格子の定義に合致していないことが分かる。したがって任意の複雑な結晶構造を表現するには単位胞と基底という概念が必要だ。

