位相群 (いそうぐん)
定義1
群 $\braket{G, \cdot}$が 位相空間 であり、次を満たすとき 位相群topological group と呼ぶ。
- 群の乗法 $\cdot : G \times G \to G$、 $\quad (g, h) \mapsto g \cdot h$ が 連続 である。
- 逆元への写像 $i : G \to G$、 $\quad g \mapsto g^{-1}$ が連続である。
位相空間論の観点から
ハウスドルフ空間 $G$ が次の2つの 連続 関数積写像と逆元写像 に関して 群 をなせば 位相群 と呼ぶ。
$$ m : G \times G \to G,\qquad (g, h) \mapsto g \cdot h \\ i : G \to G,\qquad g \mapsto g^{-1} $$
説明
群と位相空間の融合である。積写像と逆元写像の連続という条件が「微分可能」に置き換わると リー群 になる。
$$ \text{Lie group} \implies \text{topological group} $$
例
- すべての群は 離散位相 を与えれば位相群になる。
- 複素平面 上の単位円 $\braket{S^{1}(\mathbb{C}), \cdot}$ は位相群である。ここで $\cdot$ は複素数の乗法である。
- ユークリッド空間と加法による群 $\braket{\mathbb{R}^{n}, +}$ は位相群である。ここで $+$ はベクトルの加法である。
証明
1.
群 $\braket{G, \cdot}$ に 離散位相 $\mathcal{P}(G)$ を与えると $G$ のすべての部分集合が開集合になる。
- $f : X \to Y$ は連続関数である。
- 任意の開集合 $V \subset Y$ に対して $f^{-1}(V)$ は開集合である。
$G$ のすべての部分集合が開集合であるため、上の条件によりすべての $f : G \to G$ は連続関数である。したがって逆元 $i : G \to G$ は連続である。同じ理屈で $G \times G$ に離散位相を与えれば乗法 $\cdot : G \times G \to G$ も連続である。よって群 $\braket{G, \cdot}$ は位相群である。
■
2.
複素平面上の単位円とは次を満たす集合である。
$$ S^{1}(\mathbb{C}) = \{ z \in \mathbb{C} : |z| = 1 \} $$
$\braket{S^{1}(\mathbb{C}), \cdot}$ は群である。
- 閉じている: $z_{1}, z_{2} \in S^{1}(\mathbb{C})$ ならば、|$z_{1} z_{2}| = |z_{1}||z_{2}| = 1$ なので $z_{1} z_{2} \in S^{1}(\mathbb{C})$ である。
- 結合法則: $z_{1}=e^{i\theta_{1}}, z_{2}=e^{i\theta_{2}}, z_{3}=e^{i\theta_{3}}$ とすると、 $z_{1} (z_{2} z_{3}) = e^{i(\theta_{1} + \theta_{2} + \theta_{3})} = (z_{1} z_{2}) z_{3}$ である。
- 単位元: $(1,0) \in S^{1}(\mathbb{C})$ である。
- 逆元: $z \in S^{1}(\mathbb{C})$ ならば $z^{-1} = \frac{1}{z} \in S^{1}(\mathbb{C})$ である。
$S^{1}(\mathbb{C})$ は位相空間である。
複素平面上の 通常の位相 に対して 部分空間位相 を与える。すると $S^{1}(\mathbb{C})$ は $\mathbb{C}$ の部分位相空間である。
박대희·안승호. 위상수학 (5/E, 2022), p648 ↩︎