幾何平均
定義
二つの正の数 に対して、次の値を と の幾何平均geometric meanという。
一般化
個の正の数 に対して、次の値を の幾何平均という。
説明
もし複素数を考慮に入れると、は必ずしも正の数である必要はない。
幾何平均を初めて学ぶ人はおそらく次のような疑問を抱かざるを得ないだろう。
二つの数を掛けて平方根を取ることが、どうして幾何と平均に関連するのか?
どうして平均なのか?
普通「平均」という言葉を使うとき、その意味は算術平均であり、二つの数 と の算術平均は次のようになる。
学生時代に「平均」という言葉はおそらく試験期間中に最もよく使われるだろう。たとえば平均が87点ということは、全科目で87点を取ったという意味である。これが平均の核心で、各科目の点数を全て足したものが、87を同じ回数だけ足したものと等しいということだ。この式は次のように書き換えられる。
この式が意味するところは「二つの数を足した値の平均というのは、同じ数を二回足して二つの数を足した値になる数」ということである。これをそのまま乗算に適用すると次のようになる。
同じ数を二回掛けたときに他の二つの数の積と等しいなら、その同じ数を二つの数の平均と呼ぶ。
なぜ幾何なのか?
簡単に言えば、「掛け算」は面積に関連しているからである。二つの数 と が単なる数字ではなく、ある長方形の二辺の長さだとしよう。そして幾何平均を とすると次が成り立つ。
したがって、と の幾何平均とは、「各辺の長さが と の長方形の面積と等しい面積を持つようにする正方形の一辺の長さ」である。昔から土地の面積を測ることや見積もることは非常に重要な問題だった(特に税金と関連があるため)。その大きさを見積もるには当然、長方形よりも正方形を考えるのが直感的だっただろうし、したがって自然に「面積の平均」に対する概念が多く用いられ、「幾何平均」という名前が付けられたのだろう。家の構造がどのようであれ「それで何坪なんですか?」という質問でその家の大まかな規模を把握できるように、田や畑がどのような形をしていても「それでは幾何平均はいくつか?」と聞けばその面積を把握しやすいのである。