確率ベクトル
📂数理統計学確率ベクトル
定義
次の条件を満たすベクトルp=[p1⋯pn]Tを確率ベクトルprobability/stochastic vectorとする。
0≤pi≤1(1≤i≤n)andi=1∑npi=1
説明
確率ベクトルはn個の状態があるとき、各状態に対する確率を表すベクトルである。つまり、概念的には確率質量関数と同じである。離散確率変数Xの確率質量関数をpXとしたら、確率ベクトルは次のようになる。
p=p1⋮pn=pX(1)⋮pX(n)=p(1)⋮p(n)
j番目の状態がi番目の状態に変わる確率をqij=q(i∣j)としたら、確率ベクトルq(j)=[q1j⋯qnj]Tはj番目の状態が他の状態に変わる確率を表すベクトルである。この列ベクトルの行列は遷移行列transition matrixとなる。
Q=∣q(1)∣∣q(2)∣⋯∣q(n)∣=q11q21⋮qn1q12q22⋮qn2⋯⋱⋯q1nq2n⋮qnn
pを現在の状態に関する確率ベクトルとしたら、p′=Qpは現在の状態に関する確率がpとして与えられたとき、次の状態に関する確率ベクトルである。
p′=Qp=j∑qijpjj∑q2jpj⋮j∑qnjpj=j∑q(1∣j)p(j)j∑q(2∣j)p(j)⋮j∑q(n∣j)p(j)=p′(1)p′(2)⋮p′(n)
表記法
現在の状態に関する確率行ベクトル를π、遷移行列をP=−p(1)−⋮−p(n)−として、次のような表記法が主に使われる。
πP=π′
この場合にはPij=P(j∣i)が成り、i行j列の成分はi番目の状態からj番目の状態に変わる確率となる。なぜ行ベクトル中心の表記法を用いるのかはよくわからない。遷移行列の表記としてはtransitionのtを取ってTも使うことがある。