ラプラス分布の平均と分散
📂確率分布論ラプラス分布の平均と分散
公式
X∼ Laplace(μ,b)のとき、Xの平均と分散はそれぞれ次のようになる。
E(X)=μ
Var(X)=2b2
証明
直接計算
期待値の定義と部分積分法によって、
E(X)=−∞∫∞x2b1e−∣x−μ∣/bdx=−∞∫μ2bxe(x−μ)/bdx+μ∫∞2bxe−(x−μ)/bdx=[2bx(be(x−μ)/b)]−∞μ−−∞∫μ21e(x−μ)/bdx+[2bx(−be−(x−μ)/b)]μ∞+μ∫∞21e−(x−μ)/bdx=(2μ−[2be(x−μ)/b]−∞μ)+(2μ+[−2be−(x−μ)/b]μ∞)=(2μ−2b)+(2μ+2b)=μ
分散を得るためにE(X2)を計算しよう。
E(X2)=−∞∫∞x22b1e−∣x−μ∣/bdx=−∞∫μ2bx2e(x−μ)/bdx+μ∫∞2bx2e−(x−μ)/bdx=[2x2(e(x−μ)/b)]−∞μ−−∞∫μxe(x−μ)/bdx+[−2x2e−(x−μ)/b]μ∞+μ∫∞xe−(x−μ)/bdx=[2μ2−(μb−b2)]+[2μ2+(μb−b2)]=μ2+2b2
三つ目の等号は部分積分法、四つ目の等号は期待値で計算した積分の結果を利用したものである。分散はVar(X)=E(X2)−E(X)2なので、
Var(X)=E(X2)−E(X)2=μ2+2b2−μ2=2b2
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積率生成函数より
ラプラス分布の積率生成函数は次のようになる。
m(t)=1−b2t21eμtfor ∣t∣<b1
期待値はm′(0)なので微分してみると、
m′(t)=dtd(1−b2t21)eμt+1−b2t21dtdeμt=d(1−b2t2)d(1−b2t21)dtd(1−b2t2)eμt+1−b2t21μeμt=(1−b2t2)22b2teμt+1−b2t2μeμt
したがって次を得る。
E(X)=m′(0)=μ
分散を求めるためにもう一度微分してみると、
m′′(t)=dtd((1−b2t2)22b2teμt+1−b2t2μeμt)
二番目の項の微分は上の結果からすぐに導かれる。
m′′(t)=dtd((1−b2t2)22b2teμt)+(1−b2t2)22μb2teμt+1−b2t2μ2eμt
一番目の項を微分すると(1−b2t2)22b2eμtとt=0を代入したとき0になる項が出てくることがわかる。したがって、
m′′(0)=(1−b2t2)22b2eμt+(1−b2t2)22μb2teμt+1−b2t2μ2eμtt=0=2b2+μ2
よって分散は次のとおりである。
Var(X)=E(X2)−(E(X))2=m′′(0)−(m′(0))2=2b2
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