logo

コンパクト積分作用素 📂バナッハ空間

コンパクト積分作用素

定理1

与えられたコンパクト区間$J = [a, b]$に対して、$K$が$J \times J$上で連続な関数であるとする。$X = C[a, b]$を連続関数空間とする。すると、カーネル$K$を持つ積分作用素$T : X \to X$はコンパクト線形作用素である。

$$ (Tx)(s) = \int\limits_{a}^{b} K(s, t) x(t) dt,\qquad \forall x \in X $$

証明

積分作用素は線形であり、有界であるので、コンパクトであることを示せばよい。

コンパクト作用素

線形作用素$T : X \to Y$について、すべての有界部分集合$M \subset X$に対して、$\overline{T(M)}$がコンパクトであるならば$T$をコンパクト作用素という。

連続関数空間のノルム

連続関数空間$C[a, b]$のノルムnormを次のように定義する。

$$ \left\| x \right\| := \max\limits_{t \in [a, b]} \left| x(t) \right|,\qquad x \in C[a, b] $$

$X$の数列$\left\{ x_{n} \right\}$が有界であるとする。つまり、すべての$n \in \mathbb{N}$に対して、$\left\| x_{n} \right\| \le c$を満たす$c$が存在する。$y_{n} = Tx_{n}$とする。すると$T$は有界であるので、

$$ \left\| y_{n} \right\| = \left\| Tx_{n} \right\| \le \left\| T \right\| \left\| x_{n} \right\| $$

よって、$\left\{ y_{n} \right\}$も有界である。今、$\left\{ y_{n} \right\}$が同程度連続であることを示す。カーネル$K$は連続であり、$J \times J$はコンパクトであるので、$K$は一様連続である。したがって、任意の与えられた$\varepsilon \gt 0$に対して、次を満たす$\delta \gt 0$が存在する。

$$ \forall s_{1}, s_{2} \in J \text{ and } t \in J \qquad \left| s_{1} - s_{2} \right| \lt \delta \implies \left| K(s_{1}, t) - K(s_{2}, t) \right| \lt \frac{\varepsilon}{(b-a)c} $$

したがって、$s_{1}, s_{2}$とすべての$n \in \mathbb{N}$に対して、次が成り立つ。

$$ \begin{align*} \left| y_{n}(s_{1}) - y_{n}(s_{2}) \right| &= \left| \int\limits_{a}^{b} K(s_{1}, t)x_{n}(t) dt - \int\limits_{a}^{b} K(s_{2}, t)x_{n}(t) dt \right| \\ &= \left| \int\limits_{a}^{b} \left[ K(s_{1}, t) - K(s_{2}, t) \right] x_{n}(t) dt \right| \\ &\le \int\limits_{a}^{b} \left| K(s_{1}, t) - K(s_{2}, t) \right| \left| x_{n}(t) \right| dt \\ &\le \int\limits_{a}^{b} \frac{\varepsilon}{(b-a)c} \cdot c dt \\ &= \varepsilon \end{align*} $$

したがって、$\left\{ y_{n} \right\}$は同程度連続である有界な同程度連続な関数列は収束する部分列を持つので、$\left\{ y_{n} \right\}$は収束する部分列を持つ。

補助定理

$X$と$Y$をノルム空間とする。$T : X \to Y$を線形作用素とする。すると、以下の二つの命題は等価である。

  1. $T$はコンパクト作用素である。
  2. $T$が「$X$のすべての有界列」を「収束する部分列を持つ$Y$の列」にマッピングする。

したがって、任意の有界列$\left\{ x_{n} \right\}$が$T$によって収束する部分列を持つ列$\left\{ y_{n} \right\}$にマッピングされるので、$T$はコンパクト作用素である。


  1. Erwin Kreyszig, Introductory Functional Analysis with Applications (1978), p454-455 ↩︎