ノルム空間の部分集合が有界集合であるための必要十分条件
定義
直径
ノルム空間 $(X, \left\| \cdot \right\|)$が与えられたとする。非空集合 $M \subset X$の直径diameter $\diam M$は、以下のように定義される。 $$ \diam M =: \sup\limits_{x, y \in M} \left\| x - y \right\| $$
有界
$\diam M \lt \infty$を満たす場合、$M$を有界boundedという。
説明
ノルム空間では、メトリックを$d (x, y) =: \left\| x - y \right\|$として自然に導出できるので、上の定義は距離空間で言うならば、以下のようになる。
$$ \diam M =: \sup\limits_{x, y \in M} d(x, y) $$
下の定理から、ノルム空間の部分集合が有界であるということは、要素のノルムの集合が有界であることと同じであることが分かる。
定理
ノルム空間$X$の部分集合$M \subset X$が有界であるための必要十分条件は②正数$c \gt 0$が存在し、全ての$x \in M$に対して$\left\| x \right\| \le c$が成立することである。
証明
$\text{\textcircled 1} \Longrightarrow \text{\textcircled 2}$
$M \subset X$が有界であると仮定しよう。つまり、ある$C > 0$に対して、以下が成立する。
$$ \sup\limits_{x, y \in M} \left\| x - y \right\| \lt C \tag{1} $$
固定された$y \in M$に対して、$c$を$c = C + \left\| y\right\|$としよう。すると、全ての$x \in M$に対して、以下が成立する。
$$ \begin{align*} \left\| x \right\| &= \left\| x - y + y \right\| \\ &\le \left\| x - y \right\| + \left \| y \right\| & \text{by triangle inequality} \\ &\lt C + \left\| y \right\| & \text{by } (1) \\ &= c \end{align*} $$
$\text{\textcircled 1} \Longleftarrow \text{\textcircled 2}$
正数$c \gt 0$が全ての$x \in M$に対して$\left\| x \right\| \le c$を満たすと仮定しよう。すると、全ての$x, y \in M$に対して$\left\| x \right\| + \left\| y \right\| \le 2c$が成立する。$\left\| x - y \right\| \le \left\| x \right\| + \left\| y \right\|$であるから、
$$ \sup \limits_{x, y \in M} \left\| x - y \right\| \lt \infty $$
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