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コレスキー分解の一意性証明 📂行列代数

コレスキー分解の一意性証明

定理

A>0A>0 はただ一つのコレスキー分解を持つ。

説明

固有値対角化特異値分解シューア分解LU分解LDU分解はすべて一意性がない点が共通している。これらの方法はすべて固有値と固有ベクトルの関係を利用するか、1=a1a1 = a \dfrac{1}{a} だからLL またはUU に分けて割ることができるからだ。

しかし、コレスキー分解は固有値の概念を使用せず、A=LLTA=LL^{T} として表されるため、11 を二つに分けて割ることができない。このように直感的な話をもう少し丁寧に難しく書くと、証明がすぐに完成する。

証明

AA は正定値なので可逆行列でありA:=LDLTA:=LDL^{T} を満たす下三角行列LL対角行列DD が存在する。

A=LDLTA=LDL^{T} の両辺に左からxT0\mathbf{x}^{T} \ne \mathbb{0} を、右からx\mathbf{x} を乗じると

xTAx=xTLDLTx=(LTx)TD(LTx)>0 \mathbf{x}^{T} A \mathbf{x} = \mathbf{x}^{T} LDL^{T} \mathbf{x} = (L^{T} \mathbf{x})^{T} D (L^{T} \mathbf{x}) >0

だから、DD正定値行列で、固有値がすべて正であるため、対角成分はすべて正である。

したがって、

D1/2:=diag(d11,d22,,dnn) D^{ 1/2 } := \text{diag} (\sqrt{d_{11}} , \sqrt{d_{22}} , \cdots , \sqrt{d_{nn}} )

を定義でき、D=D1/2D1/2D = D^{ 1/2 } D^{ 1/2 } になる。

A=LDLT=LD1/2D1/2LT A = L D L^{T} = L D^{ 1/2 } D^{ 1/2 } L^{T} から、L:=LD1/2\overline{L} := LD^{ 1/2 } と定義すると

A=LLT A = \overline{L} \overline{L}^{T}

このようなL\overline{L} は一意であるため、コレスキー分解も一意である。