ルジンの定理
定理 1
$f : E \to \mathbb{R}$を測度集合上に定義されたルベーグ可測関数としよう。そうすると、与えられた正の数$\epsilon \gt 0$に対して、以下を満たす測度集合$A \subset \mathbb{R}$が存在する。
$$ m(A) \le \epsilon \quad \text{ and } \quad g = f|_{E\setminus A} \text{ is continuous.} $$
ここで、$m$はルベーグ測度である。
一般化2
$f$が可測関数であり、$A \subset \mathbb{R}^{n}$に対して$\mu (A) \lt \infty$かつ$f(x) = 0 \text{ for } x \in A^{c}$であるとする。そうすると、与えられた$\epsilon \gt 0$に対して、次を満たす$g \in$$C_{c}(\mathbb{R}^{n})$が存在する。
$$ \sup\limits_{x\in \mathbb{R}^{n}} g(x) \le \sup\limits_{x \in \mathbb{R}^{n}} f(x) \quad \text{ and } \quad \mu \left( \left\{ x \in \mathbb{R}^{n} : f(x) \ne g(x) \right\} \right) \lt \epsilon $$
説明
これをルジンの定理Lusin’s theoremという。簡単に言えば、可測関数$f$と殆ど同じ連続関数$g$が存在する。エゴロフの定理に依存しない証明を紹介する。証明には位相数学が使われる。
証明
実数空間は第二可算であるため、$\left\{ U_{j} \right\}$を$\mathbb{R}$の標準位相の可算基底とする。そして、$U^{j}$を次を満たす開集合とする。
$$ f^{-1}(U_{j}) \subset U^{j} \quad \text{ and } \quad m(U^{j}\setminus f^{-1}(U_{j})) \lt \dfrac{\epsilon}{2^{j}} $$
ここで、$f^{-1}(U_{j})$は$U_{j}$のプレイメージである。そして、$A = \bigcup\limits_{j=1}^{\infty} \left( U^{j} \setminus f^{-1}(U_{j}) \right)$とする。そうすると、$m(A) \lt \epsilon$が成立する。
$$ m(A) \lt \epsilon \sum\limits_{j=1}^{\infty}\dfrac{1}{2^{j}} \lt \epsilon $$
これで、$g = f|_{E\setminus A}$が連続であることだけを示せば良い。これを示すために、次が成立すると仮定する(実際に成立することは後で示す)。
$$ g^{-1}(U_{j}) = U^{j} \cap \left( E \setminus A \right) \tag{1} $$
今、$U \subset \mathbb{R}$を開集合とすると、$\left\{ U_{j} \right\}$が基底であるため、$U = \bigcup_{j \in M} U_{j}$を満たす$M$が存在する。すると、$(1)$により次が成り立つ。
$$ g^{-1}(U) = g^{-1} \bigg( \bigcup_{j \in M} U_{j} \bigg) = \bigcup_{j \in M} g^{-1} \left( U_{j} \right) =\bigg( \bigcup_{j \in M} U^{j} \bigg) \cap \left( E \setminus A \right) $$
開集合の合併は開集合であるため、右辺は$E\setminus A$から開集合である。従って、$g^{-1}(U)$は開集合である。連続関数の同値条件によれば、全ての開集合$U \subset \mathbb{R}$に対して$g^{-1}(U)$が開集合であるので、$g$は連続である。さて、$(1)$の証明を終わらせよう。$g^{-1}(U_{j}) \subset U^{j} \cap \left( E \setminus A \right)$は定義により自明である。逆方向の包含関係は、次の式から得られる。
$$ \begin{align*} U^{j} \cap (E \setminus A)\ \subset\ U^{j} \cap \left( E \setminus [U^{j} \setminus f^{-1}(U_{j})]\right) &= U^{j} \cap \left( E \cap [U^{j} \setminus f^{-1}(U_{j})]^{c}\right) \\ &= U^{j} \cap E \cap [U^{j} \setminus f^{-1}(U_{j})]^{c} \\ &= U^{j} \cap E \cap [ (U^{j})^{c} \cup f^{-1}(U_{j}) ] \\ &= U^{j} \cap E \cap f^{-1}(U_{j}) \\ &= U^{j} \cap f^{-1}(U_{j}) \\ &= f^{-1}(U_{j}) \\ \end{align*} $$
最初の等号は$A \setminus B = A \cap B^{c}$により、三番目の等号は$(A \setminus B)^{c} = A^{c} \cup B$により成立する。両側に$\cap E \setminus A$を適用すると、次を得る。
$$ U^{j} \cap (E \setminus A) \subset g^{-1}(U_{j}) $$
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Feldman, Marcus B. A proof of Lusin’s theorem The American Mathematical Monthly 88.3 (1981): 191-192. ↩︎
Robert A. Adams and John J. F. Foutnier, Sobolev Space (2nd Edition, 2003), p15 ↩︎