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部分群の判定方法 📂抽象代数

部分群の判定方法

定理

ワンステップ判定法

$G$の空集合でない部分集合 $H$について $a$、 $b$が $H$の元のとき $ab^{-1}$も $H$の元であれば $H$は $G$の部分群である。つまり、 $a$、 $b$が $H$の元のとき $a-b$も $H$の元であれば $H$は部分群である。

$$ (a, b \in H \implies ab^{-1} \in H) \implies H \le G $$

2ステップ判定法

群 $G$の空集合でない部分集合 $H$について、次の二条件を満たせば $H$は $G$の部分群である。

  1. $a$、 $b \in H \implies ab \in H$
  2. $a \in H \implies a^{-1} \in H$

$$ (a, b \in H \implies ab \in H) \land (a \in H \implies a^{-1} \in H) \implies H \le G $$

説明

2ステップ判定法を簡単に言えば、群の演算と逆元について閉じているか調べよということである。

証明

ワンステップ判定法

$a,\ b$が $H$の元であるとき $ab^{-1}$も $H$の元であると仮定する。このとき $H$が群となるための3つの条件を満たすかを確認すればよい。
[1] $H$の演算は群 $G$の演算と同一であるため結合法則が成り立つことは明らかである。
[2] $a=x,\ b=x$とする。すると $ab^{-1}=xx^{-1}=e$であり、仮定より $H$の元であるから $H$は単位元を持つ。
[3] $a=e,\ b=x$とする。すると $ex^{-1}=x^{-1}$であり、仮定より $H$の元であるから $H$の任意の元 $b$は逆元を持つ。
[4] [3]により任意の元が逆元を持つことが確認できたので $a=x,\ b=-y$とする。すると $x(y^{-1})^{-1}=xy$であり、仮定より $H$の元であるから $H$は演算について閉じている。

[1]〜[4]により $H$は群 $G$の演算について閉じ、結合法則が成立し、単位元と逆元を持つので群である。したがって部分集合 $H$は群 $G$の部分群である。

2ステップ判定法

  1. と 2. を仮定する。するとワンステップ判定法により、$a, b \in H$のとき常に $ab^{-1} \in H$であることを示せば証明は終わる。$a$、 $b \in H$とする。すると2.により $b^{-1} \in H$であり、1.により $ab^{-1} \in H$である。ゆえに $H$は $G$の部分群である。