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テンソル積の普遍的性質 📂線形代数

テンソル積の普遍的性質

ビルドアップ1

有限次元ベクトル空間 $V_{1}, \dots, V_{r}$が与えられたとしよう。$n_{i} = \dim V_{i}$で、各ベクトル空間の基底を選ぶと、以下のような座標ベクトルへの全単射関数 $f_{i}$が得られる。

$$ \begin{align*} f _{i}: & V_{i} \to \mathbb{C}^{n_{i}} \\ & v_{i} \mapsto (a_{i1}, \dots, a_{i n_{i}}) \end{align*} $$

これにより、以下のような多重線形変換 $f$が自然に定義される。

$$ \begin{align*} f : V_{1} \times \cdots \times V_{r} &\to V_{1} \otimes \cdots \otimes V_{r} \\ (v_{1}, \dots, v_{r}) &\mapsto v_{1} \otimes \cdots \otimes v_{r} = \sum_{(j_{1}, \dots, j_{r})}\left( \prod_{i=1}^{r} a_{ij_{i}} \right) e_{j_{1}} \otimes \cdots \otimes e_{j_{r}} \end{align*} $$

ここで、$V_{1} \otimes V_{2}$はベクトル空間のテンソル積、$v_{1} \otimes v_{2}$は積ベクトルである。

定理

ベクトル空間 $V_{1}, \dots, V_{r}, W$に対して、多重線形変換 $\phi$が与えられたとする。

$$ \phi : V_{1} \times \cdots \times V_{r} \to W $$

すると、次を満たす線形変換 $\psi : V_{1} \otimes \cdots \otimes V_{r} \to W$が唯一存在する。

$$ \psi (v_{1} \otimes \cdots \otimes v_{r}) = \phi (v_{1}, \dots, v_{r}),\quad \forall v_{i} \in V_{i},\quad \forall i $$

証明

$V_{i}$の基底を$\left\{ e_{j_{i}} \right\}_{1 \le j_{i} \le n_{i}}$としよう。$\psi : V_{1} \otimes \cdots \otimes V_{r} \to W$を以下のようなマッピングとして定義する。

$$ \psi \left( \sum\limits_{1 \le j_{i} \le n_{i}} a_{j_{1},\dots,j_{r}} e_{j_{1}} \otimes \cdots \otimes e_{j_{r}} \right) = \sum\limits_{1 \le j_{i} \le n_{i}} a_{j_{1},\dots,j_{r}} \phi ( e_{j_{1}}, \dots, e_{j_{r}}) $$

すると、$\phi$が多重線形であるため、$v_{i} = \sum_{1 \le j_{i} \le n_{i}} v_{i}(j_{i})e_{j_{i}}$に対して次が成り立つ。

$$ \begin{align*} \phi (v_{1}, \dots, v_{r}) &= \sum\limits_{1 \le j_{i} \le n_{i}} \left( \prod_{i=1}^{r} v_{i}(j_{i}) \right) \phi (e_{j_{1}}, \dots, e_{j_{r}}) \\ &= \psi\left( \sum\limits_{1 \le j_{i} \le n_{i}} \left( \prod_{i=1}^{r} v_{i}(j_{i}) \right) e_{j_{1}} \otimes \cdots \otimes e_{j_{r}} \right) \\ &= \psi\left( \left( \sum\limits_{1 \le j_{1} \le n_{1}} v_{1}(j_{1})e_{j_{1}} \right) \otimes \cdots \otimes \left( \sum\limits_{1 \le j_{r} \le n_{1}} v_{1}(j_{r}) e_{j_{r}} \right)\right) \\ &= \psi\left( v_{1} \otimes \cdots \otimes v_{r} \right) \\ \end{align*} $$

3番目の等式は積ベクトルの定義により成立する。これを満たす別の$\psi^{\prime}$が存在すると仮定しても、$\psi - \psi^{\prime} = 0$であるために唯一である。

参照


  1. 김영훈·허재성, 양자 정보 이론 (2020), p33-35 ↩︎