ベクトル空間のテンソル積
📂線形代数ベクトル空間のテンソル積
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- 便宜上、複素数空間Cについて展開するが、Rや任意のベクトル空間でも関係ない。
有限集合Γから複素数空間への関数の集合をCΓとして表記しよう。
CΓ={f:Γ→C}
Γをn={1,2,…,n}とする。各1≤i≤nを複素数zi∈Cに送る関数を(z1,…,zn)と表記すると、これはCnに属する関数であり、n-複素数順序対集合Cnのベクトルとも同じである。
(z1,…,zn):i↦zi
Cn:=Cn={(z1,…,zn)∣zi∈C}
つまり、v∈CΓはv:i↦ziと同じ関数としても、v=(z1,…,z∣Γ∣)と同じ順序対としても見ることができる。
有限集合Γ1、Γ2に対して、二つのベクトル空間CΓ1とCΓ2のテンソル積とは、Γ1とΓ2の積空間Γ1×Γ2から作られる関数空間(ベクトル空間)CΓ1×Γ2として定義される。
定義
有限集合Γ1、Γ2に対し、二つのベクトル空間CΓ1とCΓ2のテンソル積tensor productを次のように定義する。
CΓ1⊗CΓ2:=CΓ1×Γ2
ここでΓ1×Γ2はΓ1とΓ2の積空間である。
説明
簡単な例としてΓ1=2={1,2}、Γ2=3={1,2,3}とする。そしてΓをこれらの積空間とする。
Γ=Γ1×Γ2={(1,1),(1,2),(1,3),(2,1),(2,2),(2,3)}
その要素をそれぞれ次のように表記する。
ei⊗ej=(i,j)
すると、概要での論理をそのまま追って、v∈CΓは(i,j)↦αijと同じ関数であり、(α11,a12,a13,a21,a22,a23)と同じ順序対と見ることができる。従って、CΓは{ei⊗ej:1≤i≤2,1≤j≤3}を基底とするベクトル空間である。
CΓ={i,j∑αi,jei⊗ej:αij∈C}={(α11,a12,a13,a21,a22,a23):αij∈C}
従って、C6と同型である。
CΓ=C2⊗C3≅C6
Cを積空間に結びつけると、以下のように変数の位置が増え、テンソル積で結びつけると変数のインデックスの位置が増えると考えると簡単だろう。
z1∈C(z1,z2)∈C×C(z1,z2,z3)∈C×C×C
(z1,z2)∈C2(z11,z12,z21,z22)∈C2⊗C2(z111,z112,z121,z122,z211,z212,z221,z222)∈C2⊗C2⊗C2
各ei⊗ejはC6の標準基底のベクトルと次のように対応する。
e1⊗e1=100000e1⊗e2=010000e1⊗e3=001000e2⊗e1=000100e2⊗e2=000010e2⊗e3=000001
行列のクロネッカー積で表すと次のようになる。
e1⊗e1=[10]⊗100=11000100=100000e1⊗e2=[10]⊗010=10100010=010000e1⊗e3=[10]⊗001=10010001=001000e2⊗e1=[01]⊗100=01001100=000100e2⊗e2=[01]⊗010=00101010=000010e2⊗e3=[01]⊗001=00011001=000001
また、これにより次のことが成立することがわかる。
C⊗Cn≅CnC⊗C≅C
性質
- Cn⊗Cmは次の二つの操作に対してベクトル空間である。
- (x1⊗y1)+(x2⊗y2)=(x1+x2)⊗(y1+y2)
- α(x⊗y)=(αx)⊗y=x⊗(αy)
- Cn⊗Cm≅Cnm
- dim(Cn⊗Cm)=dim(Cn)⋅dim(Cm)=nm
一般化
有限集合Γi(1≤i≤r)に対して、ベクトル空間CΓiのテンソル積を、次のように定義する。
CΓ1⊗⋯⊗CΓr:=CΓ=CΓ1×⋯×Γr,Γ=Γ1×⋯×Γr
(j1,…jr)∈i∏Γiに対応する基底ベクトルを次のように表記する。(1≤ji≤∣Γi∣)
ej1⊗⋯⊗ejr
すると、テンソル積は次のようなベクトル空間である。Γiの基数をni=∣Γi∣とすると、
CΓ1⊗⋯⊗CΓr=⎩⎨⎧(j1,…jr)∈i∏Γi∑αj1,…,jrej1⊗⋯⊗ejr⎭⎬⎫={(α1,…,1, …,αn1, …,nr):α∈C}≅C∣Γ∣
一般ベクトル空間
有限次元ベクトル空間V1,…,Vrが与えられたとする。ベクトル空間Viの基底Bi={v1,v2,…,vdimVi}を選ぶと、次のような全単射関数fiを得ることができる。
fi:Vi→CdimVi∑zjvj↦(z1,…,zdimVi)
そうすると、Viのテンソル積を次のように定義する。
i=1⨂rVi=V1⊗⋯⊗Vr:=CdimV1⊗⋯⊗CdimVr
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