微分方程式で表されるシステムのカオス
定義 1
関数 $f : \mathbb{R}^{n} \to \mathbb{R}^{n}$ に対して、次のような ベクトル場 が微分方程式として与えられているとする。 $$ \dot{x} = f(x) $$ ある点 $x_{0} \in X$ において、このシステムの オービット $\phi_{t} ( x_{0} )$ が次の条件を満たすとき、カオティックchaoticであると言う:
- (i): $t \ge 0$ に対して $\phi_{t} ( x_{0} )$ は 有界である。
- (ii): $\phi_{t} ( x_{0} )$ の リャプノフスペクトル のうち、少なくとも一つは正である。
- (iii): オメガ極限集合 $\omega \left( x_{0} \right)$ は 周期的ではなく、固定点一つだけで構成されていないか、固定点を結ぶアークだけで構成されていない。
説明
定義の中で (iii) は簡単に言うと、ポアンカレ-ベンディクソンの定理で除外する条件である。リャプノフスペクトルの中で一つが正であるというのは、つまり初期条件への感度を指し、カオスchaosと呼ばれる概念で欠かせない要素である。
関連項目
Yorke. (1996). CHAOS: An Introduction to Dynamical Systems: p385~386. ↩︎