多項式ベクトル空間
📂線形代数多項式ベクトル空間
定義
多項式
体Fから係数を持つ多項式polynomialは、非負の整数nに対して次の形を意味する。
f(x)=anxn+an−1xn−1+⋯+a1x+a0
ここで、それぞれのak∈Fをxkの係数coefficientという。an=an−1=⋯=a0=0の場合は、f(x)をゼロ多項式zero polynomialという。
多項式の次数degreeは、(1)の形で係数が0ではないxのもっとも大きい指数を意味する。0ではない定数cに対して、f(x)=cの次数は0であり、便宜上ゼロ多項式の次数を−1と定義する。
多項式ベクトル空間
f,gをFから係数を持つ多項式とする。
f(x)=anxn+an−1xn−1+⋯+a1x+a0
g(x)=bmxm+bm−1xm−1+⋯+b1x+b0
一般性を失わずにm≤nと仮定し、bm+1=bm+2=⋯=bn=0と定義する。するとg(x)を次のように書ける。
g(x)=bnxn+bn−1xn−1+⋯+b1x+b0
これで、二つの多項式f(x)とg(x)の和を次のように定義しよう。
f(x)+g(x)=(an+bn)xn+(an−1+bn−1)xn−1+⋯(a1+b1)x+(a0+b0)
c∈Fに対して、スカラー乗算を次のように定義する。
cf(x)=canxn+can−1xn−1+⋯+ca1x+ca0
すると、この加算とスカラー乗算に対して、Fから係数を持つ全ての多項式の集合はF-ベクトル空間になり、これをP(F)と表記する。
説明
次数がn以下の全ての多項式の集合をPn(F)と表記する。P(F)は任意の次数の全ての多項式を含み、Pn(F)はn以下の全ての多項式を含む。両方とも無限集合であり、両方とも多項式の集合(無限級数の集合ではない)であることに注意しよう。
P(F)={anxn+⋯+a1x+a0:n∈N,ai∈F}
Pn(F)={akxk+⋯+a1x+a0:1≤k≤n,ai∈F}
また、P(F)は全ての次数の多項式を含むので無限次元だが、Pn(F)はn次元である。