ベクトルの座標変換
📂線形代数ベクトルの座標変換
概要
Vをn次元 ベクトル空間としよう。v∈Vとする。βをVのある順序基底とすると、vは座標ベクトル[v]βとして表される。別の順序基底β′が与えられると、vはそれに対する座標ベクトル[v]β′としても表される。ベクトルの座標変換とは、これら二つの座標ベクトルの関係式を言う。
ビルドアップ
便宜上、Vの次元をn=2としよう。β={u1,u2}をVの順序基底とし、別の順序基底β′={u1′,u2′}を考える。β′のベクトルのβに対する座標ベクトルが次のように与えられたとしよう。
[u1′]β=[ab]and[u2′]β=[cd]
つまり、次の式が成立する。
u1′u2′=au1+bu2=cu1+du2
今、あるベクトルv∈Vを選び、β′に対する座標ベクトルが次のようだとしよう。
[v]β′=[k1k2]
v=k1u1′+k2u2′
この式に(1)を代入すると、
v=k1(au1+bu2)+k2(cu1+du2)=(k1a+k2c)u1+(k1b+k2d)u2
[v]β=[(k1a+k2c)(k1b+k2d)]
このとき、(2)を使用して上の式を整理すると
[v]β=[(k1a+k2c)(k1b+k2d)]=[abcd][k1k2]=[abcd][v]β′
ここでQ=[abcd]とすると、βに対する座標ベクトルは、β′に対する座標ベクトルに行列Qを乗じて得られることが分かる。また、Qの各列は、β′のβに対する座標ベクトルで構成されている。
[v]β=Q[v]β′=[[u1′]β[u2′]β][v]β′∀v∈V
したがって、Q=[I]β′βであることが分かる。Iは恒等変換である。
定義
β,β′をn次元ベクトル空間Vの二つの順序基底としよう。Q=[I]β′βを座標変換行列または遷移行列という。v∈Vについて、下の数式
[v]β=Q[v]β′
がQがβ′-座標をβ-座標に変換することを指す。
説明
具体的にβ={u1,…,un}、β′={u1′,…,un′}とすると、
Q=[[u1′]β⋯[un′]β]
uj′=i∑Qijui
Qがβ′-座標をβ-座標に変換すると、Q−1はβ-座標をβ′-座標に変換する。
定理
β,β′をn次元ベクトル空間Vの二つの順序基底としよう。Q=[I]β′βとしよう。その場合、
(a) Qは可逆行列である。
(b) ∀v∈V、[v]β=Q[v]β′
証明
(a)
補助定理
線形変換Tが可逆であることは、[T]βγが可逆であることと同値である。
恒等変換Iが可逆であるので、補助定理によりQは可逆である。
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(b)
座標ベクトルと行列表現の性質により、
[v]β=[I(v)]β=[I]β′β[v]β′=Q[v]β′
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