リーマン曲率テンソルの対称性
📂幾何学リーマン曲率テンソルの対称性
定義
リーマン曲率テンソル RをR:X(M)×X(M)×X(M)×X(M)→D(M)に対して以下のように定義しよう。
R(X,Y,Z,W):=g(R(X,Y)Z,W)=⟨R(X,Y)Z,W⟩
ここでX(M)はM上に定義された全てのベクトルフィールドの集合、D(M)はM上に定義された微分可能な関数の集合、gはリーマン計量だ。
説明
表記法が重複して使用されていることに注意しよう。これは、二つの定義が実質的に同じものだからだ。
Rは以下のような対称性を持つが、これはレビ・チビタ接続の対称性と互換性に由来する。
性質
R(X,Y,Z,W)+R(Y,Z,X,W)+R(Z,X,Y,W)R(X,Y,Z,W)R(X,Y,Z,W)R(X,Y,Z,W)=0=−R(Y,X,Z,W)=−R(X,Y,W,Z)=R(Z,W,X,Y)
証明
(1)
ビアンキの恒等式により成立する。
====R(X,Y,Z,W)+R(Y,Z,X,W)+R(Z,X,Y,W)g(R(X,Y)Z,W)+g(R(Y,Z)X,W)+g(R(Z,X)Y,W)g(R(X,Y)Z,W)+g(R(Y,Z)X,W)+g(R(Z,X)Y,W)g(0,W)0
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(2)
曲率テンソル Rの定義により成立する。
R(X,Y,Z,W)=g(R(X,Y)Z,W))=g(∇Y∇XZ−∇X∇YZ+∇[X,Y]Z,W)=−g(∇X∇YZ−∇Y∇XZ+∇[Y,X]Z,W)=−g(R(Y,X)Z,W)=−R(Y,X,Z,W)
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(3)
(2)のように直接計算できるわけではない。まず、次のclaimを見よう。
Claim: R(X,Y,Z,Z)=0
R(X,Y,Z,Z)=g(∇Y∇XZ−∇X∇YZ+∇[X,Y]Z,Z)=g(∇Y∇XZ,Z)−g(∇X∇YZ,Z)+g(∇[X,Y]Z,Z)
このときレビ・チビタ接続は互換性があるので、次が成立する。
⟹Yg(∇XZ,Z)g(∇Y∇XZ,Z)=g(∇Y∇XZ,Z)+g(∇XZ,∇YZ)=Yg(∇XZ,Z)−g(∇XZ,∇YZ)
同様に、次も成立する。
⟹Xg(∇YZ,Z)g(∇X∇YZ,Z)=g(∇X∇YZ,Z)+g(∇YZ,∇XZ)=Xg(∇YZ,Z)−g(∇YZ,∇XZ)
⟹[X,Y]g(Z,Z)g(∇[X,Y]Z,Z)=g(∇[X,Y]Z,Z)+g(Z,∇[X,Y]Z)=21[X,Y]g(Z,Z)
これを代入すると、次を得る。
==R(X,Y,Z,Z)Yg(∇XZ,Z)−g(∇XZ,∇YZ)−Xg(∇YZ,Z)+g(∇YZ,∇XZ)+21[X,Y]g(Z,Z)Yg(∇XZ,Z)−Xg(∇YZ,Z)+21[X,Y]g(Z,Z)
上でと同様に、∇が互換性があるので、次が成立する。
YXg(Z,Z)=Yg(∇XZ,Z)+Yg(Z,∇XZ)⟹Yg(Z,∇XZ)=21YXg(Z,Z)
したがって、次を得る。
R(X,Y,Z,Z)=21YXg(Z,Z)−21XYg(Z,Z)+21[X,Y]g(Z,Z)=21(YX−XY)g(Z,Z)+21[X,Y]g(Z,Z)=21[Y,X]g(Z,Z)+21[X,Y]g(Z,Z)=−21[X,Y]g(Z,Z)+21[X,Y]g(Z,Z)=0
それから、交代関数の必要十分条件により、
R(X,Y,Z,W)=−R(X,Y,W,Z)
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(4)
まず、ビアンキの恒等式により、次が成立する。
R(X,Y,Z,W)+R(Y,Z,X,W)+R(Z,X,Y,W)=0
これら四つの変数をcyclicに変えると、同様にビアンキの恒等式から次の三つの式を得る。
R(Y,Z,W,X)+R(Z,W,Y,X)+R(Z,X,Y,X)R(Z,W,X,Y)+R(W,X,Z,Y)+R(X,Z,W,Y)R(W,X,Y,Z)+R(X,Y,W,Z)+R(Y,W,X,Z)=0=0=0
これら四つの式を全て足し合わせると、証明された対称性により次のように消去される。
===0R(X,Y,Z,W)+R(Y,Z,X,W)+R(Z,X,Y,W)+R(Y,Z,W,X)+R(Z,W,Y,X)+R(W,Y,Z,X)+R(Z,W,X,Y)+R(W,X,Z,Y)+R(X,Z,W,Y)+R(W,X,Y,Z)+R(X,Y,W,Z)+R(Y,W,X,Z)R(Z,X,Y,W)+R(W,Y,X,X)+R(X,Z,W,Y)+R(Y,W,X,Z)(−1)(−1)R(X,Z,W,Y)+(−1)(−1)R(Y,W,X,Z)+R(X,Z,W,Y)+R(Y,W,X,Z)
したがって、次を得る。
⟹2R(Y,W,X,Z)+2R(X,Z,W,Y)R(Y,W,X,Z)=0=−R(X,Z,W,Y)=R(X,Z,Y,W)
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