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三角行列 📂行列代数

三角行列

定義1

主対角線より上の要素がすべて$0$である行列$A = [a_{ij}]$を下三角行列lower triangular matrixという。

$$ A \text{ is lower triangluar matrix if } a_{ij} = 0 \text{ whenever } i \lt j $$

主対角線より下の要素がすべて$0$である行列$A = [a_{ij}]$を上三角行列upper triangular matrixという。

$$ A \text{ is upper triangluar matrix if } a_{ij} = 0 \text{ whenever } i \gt j $$

特に主対角要素がすべて$0$である三角行列を厳密(上/下)三角行列strictly (upper/lower) triangular matrixという。

説明

例えば、$A$が$4 \times 5$とする。$A$が下三角行列なら、

$$ A= \begin{bmatrix} a_{11} & 0 & 0 & 0 & 0 \\ a_{21} & a_{22} & 0 & 0 & 0 \\ a_{31} & a_{32} & a_{33} & 0 & 0 \\ a_{41} & a_{42} & a_{43} & a_{44} & 0 \\ \end{bmatrix} $$

上三角行列なら、以下のようになる。

$$ A= \begin{bmatrix} a_{11} & a_{12} & a_{13} & a_{14} & a_{15} \\ 0 & a_{22} & a_{23} & a_{24} & a_{25} \\ 0 & 0 & a_{33} & a_{34} & a_{35} \\ 0 & 0 & 0 & a_{44} & a_{44} \\ \end{bmatrix} $$

定義により、対角行列は下三角行列でありつつ、上三角行列でもある。

性質

  • 下三角行列の転置は上三角行列であり、上三角行列の転置は下三角行列である。

  • 下三角行列の積は下三角行列であり、上三角行列の積は上三角行列である。

  • 三角行列が可逆であるための必要十分条件は、すべての主対角要素が$0$ではないことである。

  • 可逆な下三角行列の逆行列は下三角行列であり、可逆な上三角行列の逆行列は上三角行列である。

  • 正方形の厳密三角行列は冪零である。(逆は成り立たない)


  1. Stephen H. Friedberg, Linear Algebra (4th Edition, 2002), p21 ↩︎