線形変換の値域が核よりも小さい場合の同値条件
定理1
$V$がベクトル空間で、$T : V \to V$が線形変換だとする。すると、以下が成り立つ。
$$ T^{2} = T_{0} \iff R(T) \subset N(T) $$
この時、$T_{0}$は零変換で、$R(T), N(T)$はそれぞれ$T$の値域と零空間である。
一般化
$U, V, W$がベクトル空間で、$T_{1} : U \to V$、$T_{2} : V \to W$が線形変換だとする。すると、以下が成り立つ。
$$ T_{2}T_{1} = T_{0} \iff R(T_{1}) \subset N(T_{2}) $$
説明
考えてみれば当たり前の話だ。一般的に書かれた定理の証明方法も同じだ。
一方で、$T^{2} = T_{0}$の線形変換を冪零と言う。
証明
$(\Longrightarrow)$
$T^{2} = T_{0}$とする。$T(x) \in R(T)$ $(x\in V)$とする。すると、
$$ T(T(x)) = T^{2}(x) = 0 $$
したがって、$N(T)$の定義により、$T(x) \in N(T)$である。よって、
$$ R(T) \subset N(T) $$
$(\Longleftarrow)$
$R(T) \subset N(T)$とする。すると、全ての$x \in V$に対して、$T(x) \in R(T) \subset N(T)$であるので、$N(T)$の定義により、
$$ R(T) \subset N(T) $$
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Stephen H. Friedberg, Linear Algebra (4th Edition, 2002), p97 ↩︎