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ラグランジュの乗数法 📂数理物理学

ラグランジュの乗数法

定義1

多変数関数$f(x_{1}, \dots, x_{n})$の最適値最小値または最大値

説明

上の図のように$y = 2 - x^{2}$のグラフが与えられているとする。原点とそのグラフの距離を$d$としよう。

$$ d(x,y) = \sqrt{x^{2} + y^{2}} $$

すると、距離$d$が最小になる点を見つける問題は、関数$f(x,y) = x^{2} + y^{2}$が最小値を取る点を見つける問題と同じだ。ただし、$x, y$はグラフ上の点であるため、$x^{2} + y = 2$という制約条件を満たさなければならない。この制約条件を$\phi$としよう。

$$ \phi (x,y) = x^{2} + y = 2 $$

微分して$0$になるところが最小値(最大値)の候補であることを知っている。だから、全微分が$0$になる点を見つければいい。

$$ df = \dfrac{\partial f}{\partial x}dx + \dfrac{\partial f}{\partial y}dy = 0 $$

ラグランジュ乗数法とは、ここに制約条件$d\phi$と乗数multiplier, 掛け数$\lambda$の積を加えた式を解いて、最小値になる点を見つける方法だ。

$$ \begin{align*} df + \lambda d\phi =&\ \left( \dfrac{\partial f}{\partial x}dx + \dfrac{\partial f}{\partial y}dy \right) + \lambda \left( \dfrac{\partial \phi}{\partial x}dx + \dfrac{\partial \phi}{\partial y}dy \right) \\ =&\ \left( \dfrac{\partial f}{\partial x} + \lambda\dfrac{\partial \phi}{\partial x} \right)dx + \left( \dfrac{\partial f}{\partial y} + \lambda \dfrac{\partial \phi}{\partial y} \right) dy \\ =&\ 0 \end{align*} $$

すると、次の2つの式が得られる。

$$ \dfrac{\partial f}{\partial x} + \lambda\dfrac{\partial \phi}{\partial x} = 0 \\[1em] \dfrac{\partial f}{\partial y} + \lambda \dfrac{\partial \phi}{\partial y} = 0 $$

$f$と$\phi$を具体的に代入すると、次のようになる。

$$ 2x + \lambda \cdot 2x = 0 \\ 2y + \lambda = 0 $$

最初の式から、$x = 0$か$\lambda = -1$であることがわかる。

  • $x = 0$の場合

    $y= 2- x^{2}$なので$y=2$である。(2番目の式から$\lambda = -4$)

  • $\lambda = -1$の場合

    2番目の式から$y = \dfrac{1}{2}$である。だから$x = \pm \sqrt{\dfrac{3}{2}}$である。

このように求めた場合を列挙すると、次のようになる。

$$ (-\sqrt{\frac{3}{2}}, \frac{1}{2}), \quad (0, 2), \quad (\sqrt{\frac{3}{2}}, \frac{1}{2}) $$

これは$f(x,y) = x^{2} + y^{2}$に$y=2-x^{2}$を代入し、微分して$0$になる点を探した結果と同じだ。もちろん、これは簡単な例なので代入法で解く方が楽で簡単だが、複雑な問題の場合はそうではない。例えば「3次元楕円体に内接する直方体の体積が最大になるのはいつか?」という問題を解くならば、$f$と$\phi$は次のようになる。

$$ f(x,y,z) = 8xyz,\quad \phi (x,y,z) = \dfrac{x^{2}}{a^{2}} + \dfrac{y^{2}}{b^{2}} + \dfrac{z^{2}}{c^{2}} = 1 $$

この場合は代入法で解くのが難しいが、ラグランジュ乗数法ではもっと簡単に解ける。


  1. Mary L. Boas, 수리물리학(Mathematical Methods in the Physical Sciences, 최준곤 역) (3rd Edition, 2008), p ↩︎