正のガウス曲率を持つ回転面
概要1
単位速度曲線 $\boldsymbol{\alpha}(s) = \left( r(s), z(s) \right)$によって作られる回転面を$M$としよう。
$$ M = \left\{ \left( r(s)\cos\theta, r(s)\sin\theta, z(s) \right) : 0 \le \theta \le 2\pi, s \in (s_{0}, s_{1}) \right\} $$
$M$の座標片写像 $\mathbf{x}$は次のとおりだ。
$$ \mathbf{x}(s, \theta) = \left( r(s)\cos\theta, r(s)\sin\theta, z(s) \right) $$
$$ K = -\dfrac{r^{\prime \prime}}{r} $$
ガウス曲率が$K = -\dfrac{r^{\prime \prime}}{r} = a^{2}$で正の回転面について説明する。
説明
上記の仮定により$r^{\prime \prime} + a^{2}r = 0$を得る。これは2階の常微分方程式なので、解は以下の通りだ。
$$ r(s) = a_{1}\cos(as) + a_{2}\sin(as) = A\cos(as + b) $$
これを$b=0$としよう。すると、$r>0$という仮定があったので、$A > 0$であり、$\left| s \right| \lt \pi/2a$である。また、$z^{\prime} = \pm\sqrt{1 - (r^{\prime})^{2}}$なので、以下の定理を得る。
定理
$M$を単位速度曲線 $\boldsymbol{\alpha}(s)$によって作られる回転面で、ガウス曲率が正の定数$K = a^{2}$としよう。すると、$\boldsymbol{\alpha}(s) = \left( r(s), z(s) \right)$は以下のように与えられる。
$$ \begin{align} r(s) &= A\cos (as),\quad \left| s \right| \lt \pi/2a \nonumber \\ z(s) &= \pm \int_{0}^{s} \sqrt{1 - a^{2}A^{2} \sin^{2}(at)}dt + C \end{align} $$
ここで、$A > 0, C$は定数である。
もし$A \ne \dfrac{1}{a}$ならば、与えられた積分$(1)$は初等積分として現れず、これを楕円積分という。
もし$A = \dfrac{1}{a}$ならば、単純に$z(s) = \pm {\displaystyle \int}_{0}^{s} \cos(at)dt + C = \pm\frac{1}{a}\sin (as) + C$である。したがって、$r^{2} + z^{2} = \frac{1}{a^{2}}$であるから、回転面$M$は球である。
$A$の値による回転面の形状はそれぞれ以下の通りである。
また、$r = A\cos(as)$であるため、メトリック係数の行列は、
$$ \begin{bmatrix} g_{ij} \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 1 & 0 \\ 0 & A^{2} \cos^{2}(as) \end{bmatrix} $$
Richard S. Millman and George D. Parker, Elements of Differential Geometry (1977), p154 ↩︎