曲面に沿った平行ベクトル場の定義
📂幾何学曲面に沿った平行ベクトル場の定義
曲線に沿ったベクトル場[^1]
定義
曲面 Mと曲線 α:[a,b]→Mが与えられたとする。それぞれのt∈[a,b]を点α(t)上で曲面Mに対する接ベクトルに対応させる関数Xを曲線αに沿ったベクトル場vector field along a curveαという。
X:[a,b]→R3X(t)∈Tα(t)M
説明
定義で言う接ベクトルは、曲線αの接ベクトルではなく、Tα(t)Mの要素である点α(t)での接ベクトルであることに注意しよう。曲面上の各点α(t)での接ベクトルは一意ではないため、曲線αに沿ったベクトル場も一意ではない。接平面に無限のベクトルがあるためXも無限に存在する。
簡単な例としてM上の曲線α(t)が与えられた時、α(t)の接ベクトル場であるT(t)はαに沿ったベクトル場となる。S=n×Tもまたαベクトル場である。
SとTは接空間の基底となるため、全てのαベクトル場Xは次のような線形結合で表される。
X(t)=A(t)T(t)+B(t)S(t)for some A,B:[a,b]→R
微分可能なベクトル場
定義
α(t)に沿ったベクトル場X(t)が微分可能であるdifferentiableとは、関数X:[a,b]→R3が微分可能であることを意味する。
説明
正確には'Xが微分可能である'と言うべきだが、'X(t)が微分可能である'とも便宜上言う。
平行なベクトル場
定義
微分可能なαベクトル場X(t)が与えられたとする。dtdXが曲面Mと垂直なら、X(t)がα(t)に沿って平行であるparallel alongα(t)と定義する。
説明
上で説明したように、αベクトル場は本当に任意に選ぶことができるが、「微分可能なαベクトル場」という条件は、「平行な線」という概念を話すために制限を設けるものである。
曲面Mと垂直であるということは、dtdXが接方向の成分は持たず、法線方向の成分のみを持つということと同じである。定義を見ただけではなぜこのようなベクトル場を平行であるというのか理解しにくいかもしれないので、次の例を見よう。
例
2次元平面で
xy−平面上の曲線γ(t)=(a(t),b(t),0)を考えよう。そしてX(t)=(A(t),B(t),0)をγに沿ったベクトル場としよう。そうすると、
dtdX=(dtdA,dtdB,0)
このベクトルがxy−平面と垂直であるためには、任意の全てのベクトル(x,y,0)との内積が0である必要があるので、次を得る。
dtdA=0=dtdB
したがってA(t),B(t)は定数である。これを図で表すと次のようになり、私たちが直感的に考える「曲線γに沿って平行なベクトルたち」によく合っている。

球面上で
Mを単位球面としよう。γ(t)を赤道線としよう。そしてγに沿ったベクトル場Xγ(t)=(0,0,1)を考えてみよう。そうするとdtdXγ=(0,0,0)であるため、常に▷