n次元微分可能多様体上の接空間はn次元ベクトル空間である
📂幾何学n次元微分可能多様体上の接空間はn次元ベクトル空間である
概要
Mをn次元微分多様体、TpMを点p∈M上の接空間だとしよう。接空間はベクトル空間になり、特にn次元ベクトル空間になる。以下の集合が接空間の基底になり、この事実は微分多様体を勉強する上で非常に役立つ。
B={∂xi∂p:1≤i≤n}
定理1
TpMはR−ベクトル空間である。
証明
ベクトル空間になるための条件は以下のように十個があるが、その中からいくつかを証明しよう。
u,v,w∈Vとk,l∈Fに対して、
(A1) u,vがVの要素ならu+vもVの要素である。
(A2) u+v=v+u
(A3) (u+v)+w=u+(v+w)
(A4) V内の全てのuに対して、u+0=0+u=uを満たす0がV内に存在する。
(A5) V内の全てのuに対してu+v=v+u=0を満たすvがV内に存在する。
(M1) uがVの要素ならkuもVの要素である。
(M2) k(u+v)=ku+kv
(M3) (k+l)u=ku+lu
(M4) k(lu)=(kl)(u)
(M5) 1∈Fに対して、1u=u
X,Y∈TpMとしよう。pで微分可能な関数の集合をDとしよう。
D:={f:M→R∣functions on Mthat are differentiable at p}
ベクトル空間になるためには、要素間の和とスカラー倍が定義されなければならない。和とスカラー倍を次のように定義しよう。
(X+Y)(f):=Xf+Yf(r⋅X)(f):=r⋅Xf,r∈R
(A1) XとYがそれぞれD→Rの関数であるため、Xf,Yf∈Rである。二つの実数の和は実数であるため、X+Y:D→Rである。したがって、X+Y∈TpMである。
(M1) Xf∈Rでr∈Rであるため、r⋅Xf∈Rである。したがって、rX:D→Rであり、rX∈TpMである。
(A4) 0:D→Rを0f=0(∀f∈D)として定義しよう。すると、
(X+0)(f)=Xf+0f=Xf
(A5) −Xを(−X)(f):=(−1)⋅Xfとして定義すると、(M1)によって(−1)X∈TpMであり、X+(−X)=0が成り立つ。
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定理2
TpMはn次元ベクトル空間である。特に、x:U→Mを点p∈Mに関する座標系としよう。すると、集合
B={∂xi∂p:1≤i≤n}
は接空間TpMの基底である。この時、∂xi∂p:D→Rは次のように定義される。
∂xi∂pf:=∂ui∂(f∘x)p,f∈D
(u1,…,un)はRの座標である。
証明
基底の定義によれば、Bが線形独立であり、TpMを生成することを示せばよい。
パート1. 線形独立
座標系x:U⊂Rn→Mに対して、座標関数xi:M→Rは以下のようである。
x(u)=px−1(p)=(x1(p),…,xn(p))=(u1,…,un)
ここで、f=xjとすると、
f∘x(u)=xj∘x(u)=xj(x(u))=xj(p)=uj
したがって、
∂xi∂pxj=∂ui∂(xj∘x)p=∂ui∂uj=δij
この時、δijはクロネッカーデルタである。
方程式ci∂xi∂p=0を見ると、全てのiに対してci=0であれば線形独立である。任意のxjを1≤j≤nに代入すると、
0=0(xj)=ci∂xi∂pxj=ciδij=cj
したがって、全てのjに対してcj=0であり、他の解は存在しないことが分かる。したがって、Bは線形独立である。
パート2. 生成
f∈D、a=x−1(p)、F=f∘xとしよう。するとF:Rn→Rである。
多変数関数に対するテイラーの定理
F(x)=F(a)+i∑∂xi∂F(a)(xi−ai)+i,j∑hij(x)(xi−ai)(xj−aj)
上記のテイラーの定理をFに適用すると、次が成り立つ。m∈Mに対して、
f(m)==== F∘x−1(m)=F(x−1(m)) F(a)+i∑∂ui∂F(a)(xi(m)−ai)+i,j∑hij(x−1(m))(xi(m)−ai)(xj(m)−aj) F∘x−1(p)+i∑∂ui∂F(x−1(p))(xi(m)−ai)+∑hij(x−1(m))(xi(m)−ai)(xj(m)−aj) f(p)+i∑(∂xi∂pf)(xi(m)−ai)+∑hij(x−1(m))(xi(m)−ai)(xj(m)−aj)
したがって、fは以下のようなマッピングである。
f=f(p)+i∑(∂xi∂pf)(xi−ai)+∑(hij∘x−1)(xi−ai)(xj−aj)
これを接ベクトルXに適用すると、
X(f)=X(f(p))+i∑(∂xi∂pf)X(xi−ai)+∑X[(hij∘x−1)(xi−ai)(xj−aj)]
接ベクトルは微分作用素として定義されるため、定数関数cに対してX(c)=0である。したがって、上記式の最初の項は0である。
Xp(fg)=f(p)Xp(g)+g(p)Xp(f)
したがって、もしf(p)=g(p)=0であれば、
Xp(fg)=0
また、f=(hij∘x−1)(xi−ai)、g=(xj−aj)として上記の補題を適用すると、xi(p)=aiであるため、三番目の項も0であることが分かる。したがって、次を得る。
X(f)==== i∑(∂xi∂pf)X(xi−ai) i∑(∂xi∂pf)(X(xi)−X(ai)) i∑(∂xi∂pf)X(xi) i∑X(xi)∂xi∂pf
⟹X=i∑X(xi)∂xi∂p
したがって、任意のXがBの線形結合で表されるため、TpMはBによって生成される。
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