有界線形作用素の性質
定理1
$V$をノルム空間とし、$T$を有界線形作用素とし、$W \subset V$とする。そうすると、次が成り立つ。
(a)
$$ T\left( \overline{W} \right) \subset \overline{T(W)} $$
さらに、$T$が可逆であり、$T^{-1}$も有界線形作用素であれば、次が成り立つ。
$$ T\left( \overline{W} \right) = \overline{T(W)} $$
この時、$\overline{W}$は$W$のクロージャーである。
(b)
$\left\{ \mathbf{v}_{k} \right\}$を$V$内の数列、$\mathbf{v} \in V$とする。そうすると、次が成り立つ。
$$ \lim \limits _{k \to \infty} \mathbf{v}_{k} = \mathbf{v} \implies \lim \limits _{k \to \infty} T\mathbf{v}_{k} = T\mathbf{v} $$
(c)
$V$内の数列$\left\{ \mathbf{v}_{k} \right\}$と、ある定数$\left\{ c_{k} \right\}$に対して、$\sum \limits_{k=1}^{\infty} c_{k}\mathbf{v}_{k}$が収束すると仮定する。そうすると、次が成り立つ。
$$ T \sum \limits_{k=1}^{\infty} c_{k} \mathbf{v}_{k} = c_{k} \sum \limits_{k=1}^{\infty} T \mathbf{v}_{k} $$
説明
有界な作用素は連続であり、**(b)**は関数が連続である同値条件であるため、当然の事実と言える。
証明
(b)
$T$が有界で線形であるため、次の式が成り立つ。
$$ \left\| T \mathbf{v}_{k} - T \mathbf{v} \right\| = \left\| T (\mathbf{v}_{k} - \mathbf{v}) \right\| \le \left\| T \right\| \left\|\mathbf{v}_{k} - \mathbf{v} \right\| $$
従って、$\mathbf{v}_{k} \to \mathbf{v}$であれば、$T \mathbf{v}_{k} \to T \mathbf{v}$である。
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Ole Christensen, Functions, Spaces, and Expansions: Mathematical Tools in Physics and Engineering (2010), p45 ↩︎