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ベクトル領域の定義と性質 📂数理物理学

ベクトル領域の定義と性質

定義

vector_area.png

与えられた面 $S$に対して、次の積分を$S$のベクトルの面積vector areaと呼ぶ。

$$ \mathbf{a} := \int_{\mathcal{S}} d \mathbf{a} $$

説明

hemisphere.png

例えば、半径が$R$の半球のベクトルの面積を計算してみよう。それは$d \mathbf{a} = R^{2}\sin\theta d\theta d\phi \hat{\mathbf{r}}$である。ここで、

$$ \hat{\mathbf{r}} = \cos\phi \sin\theta \hat{\mathbf{x}} + \sin\phi \sin\theta\hat{\mathbf{y}} + \cos\theta\hat{\mathbf{z}} $$

北半球の領域で積分すると、$\hat{\mathbf{x}}$と$\hat{\mathbf{y}}$の成分は両方とも打ち消し合って、$\hat{\mathbf{z}}$の成分だけが残る。したがって、次のようになる。

$$ \begin{align*} \mathbf{a} &= \int_{\phi=0}^{2\pi} \int_{\theta=0}^{\pi/2} R^{2}\sin\theta \cos\theta d\theta d\phi \hat{\mathbf{z}} \\ &= 2\pi R^{2} \int_{\theta=0}^{\pi/2} \sin\theta \cos\theta d\theta \hat{\mathbf{z}} \\ &= 2\pi R^{2} \dfrac{1}{2} \hat{\mathbf{z}} \\ &= \pi R^{2} \hat{\mathbf{z}} \end{align*} $$

$\theta$に対する積分は、三角関数の積分表の$(1)$によって正当化される。

性質

  1. 閉じた曲面のベクトルの面積は、常に$\mathbf{a} = \mathbf{0}$である。

  2. 境界が同じ面のベクトルの面積は、常に同じである。

  3. 次の積分が成り立つ。 $$ \mathbf{a} = \dfrac{1}{2}\oint \mathbf{r} \times d \mathbf{l} $$

  4. 任意の定数ベクトル$\mathbf{c}$に対して、次が成り立つ。 $$ \oint (\mathbf{c} \cdot \mathbf{r}) d \mathbf{l} = \mathbf{a} \times \mathbf{c} $$