線形変換の階数、零空間の次元、次元定理
定義1
$T : V \to W$を線形変換とする。
$T$の値域 $R(T)$が有限次元ならば、$R(T)$の次元を**$T$のランク**rankといい、次のように示す。
$$ \mathrm{rank}(T) := \dim (R(T)) $$
$T$の零空間 $N(T)$が有限次元ならば、$N(T)$の次元を**$T$の零次元数**nullityといい、次のように示す。
$$ \mathrm{nullity}(T) := \dim\left( N(T) \right) $$
説明
これは行列のランク, 零次元数の概念を一般化したものだ。実際に$V, W$が有限次元ならば$T$は実質的に行列であり、$N(T)$は$T$を表す行列$M_{T}$の零空間である。行列の零次元数は零空間の次元だから、次が成立する。
$$ \mathrm{nullity}(T) = \dim\left( N(T) \right) = \dim (\mathcal{N}(M_{T})) $$
行列の次元定理を線形変換に対して一般化すると、次の定理が得られる。
定理
$T : V \to W$が線形変換であり、$V$が有限次元ならば、次が成立する。
$$ \mathrm{rank}(T) + \mathrm{nullity}(T) = \dim (V) $$
Howard Anton, Elementary Linear Algebra: Aplications Version (12th Edition, 2019), p455-456 ↩︎