拡張行列と基本行操作
📂行列代数拡張行列と基本行操作
定義
次のような線形システムが与えられたとしよう。
a11x1+a12x2+⋯+a1nxna21x1+a22x2+⋯+a2nxnam1x1+am2x2+⋯+amnxn=b1=b2⋮=bm
線形システムの定数を行列で表現したものを増大行列と呼ぶ。
a11a21⋮am1a12a22⋮am2⋯⋯⋱⋯a1na2n⋮amnb1b2⋮bm
説明
行列は連立一次方程式を簡単に解くために考案された。例えば (linsys2) の定数だけを取り出して (augmented) のように表現することも、次のように表現することもできる。
a11a21⋮am1a12a22⋮am2⋯⋯⋱⋯a1na2n⋮amnx1x2⋮xnAx=b1b2⋮bm=b
特に増大行列で表された場合、基本行操作を通じて線形システムを解くことができるが、実際これは中学校で習った加減法と本質的に同じだ。
定義
以下の三つの操作を基本行操作という。
0 でない定数を一行に掛ける。
二行の位置を交換する。
一行の定数倍を他の行に加える。
例
加減法で連立方程式を解くことは、増大行列を基本行操作で各行の最後の列を引いて一つの要素だけ残すことと同じだ。線形代数学の言葉で言えば、「増大行列を基本行操作を通じて階段行列にすること」だ。
x2x3x+++y4y6y+−−2z3z5z=== 9 1 01231462−3−5910
一行目に −2 を掛けたものを二行目に加える。
x3x++y2y6y+−−2z7z5z=== 9 −17 01031262−7−59−170
一行目に −3 を掛けたものを三行目に加える。
x+y2y3y+−−2z7z11z=== 9 −17 −271001232−7−119−17−27
二行目に 21 を掛ける。
x+yy3y+−−2z27z11z=== 9 −217 −271001132−27−119−217−27
二行目に −3 を掛けたものを三行目に加える。
x+yy+−−2z27z21z=== 9 −217 −231001102−27−219−217−23
三行目に −2 を掛ける。
x+yy+−2z27zz=== 9 −217 31001102−2719−2173
二行目に −1 を掛けたものを一行目に加える。
xy+−211z27zz=== 235 −217 3100010211−271235−2173
三行目に −211 を掛けたものを一行目に加えて、三行目に 27 を掛けたものを一行目に加える。
xyz=== 1 2 3100010001123
従って、与えられた線形システムの解は x=1、y=2、z=3 だ。