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直交行列の性質 📂行列代数

直交行列の性質

性質1

直交行列は、以下の性質を持つ。

(a) 直交行列の転置も直交行列である。

(b) 直交行列の逆行列は直交行列である。

(c) 2つの直交行列の積は直交行列である。

(d) 直交行列の行列式は、11または1-1である。

det(A)=±1 \det(A)=\pm 1

証明

(a)

AAを直交行列とする。BBAAの転置とする。

B=AT B=A^{T}

すると、以下の式が成り立つ。

B1=(AT)1=(A1)1=A=BT B^{-1} = (A^{T})^{-1} = (A^{-1})^{-1} = A = B^{T}

(b)

AAを直交行列とする。BBAAの逆行列とする。

B=A1 B = A^{-1}

すると、AAが直交行列であり、(A1)T=(AT)1(A^{-1})^{T} = (A^{T})^{-1}が成り立つので、以下の式が成り立つ。

B1=(A1)1=(AT)1=(A1)T=BT B^{-1} = (A^{-1})^{-1} = (A^{T})^{-1} = (A^{-1})^{T} = B^{T}

(c)

AABBn×nn \times nのサイズの直交行列とする。すると、(AB)(AB)T(AB) (AB)^{T}であることを示せば証明が完了する。(AB)T=BTAT(AB)^{T}=B^{T}A^{T}が成り立つので、以下の式が成り立つ。

(AB)(AB)T=(AB)(BTAT)=(AB)(B1A1)=AA1=I \begin{align*} (AB)(AB)^{T} &= (AB) (B^{T}A^{T}) \\ &= (AB)(B^{-1}A^{-1}) \\ &= AA^{-1} \\ &= I \end{align*}

(d)

AAを直交行列とする。すると、積の行列式と行列式の積が等しいので、以下の式が得られる。

det(I)=det(AAT)=det(A)det(AT) \begin{align*} \det(I) &= \det(AA^{T}) \\ &= \det(A) \det(A^{T}) \end{align*}

また、転置の行列式と行列式の転置が等しいので、以下の式が得られる。

1=det(I)=(det(A))2 1 = \det(I) = \left( \det(A) \right)^2

従って、

det(A)=±1 \det(A) = \pm 1


  1. Howard Anton, Elementary Linear Algebra: Applications Version(第12版、2019年)、p401 ↩︎