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直交行列 📂行列代数

直交行列

定義

AA正方実数行列としよう。AAが下の式を満たす場合、直交行列orthogonal matrixという。

A1=AT A^{-1} = A^{T}

この条件を別の形で表すと次のようになる。

AAT=ATA=I AA^{T} = A^{T}A =I

説明

定義を言葉で解くと、直交行列とは、それぞれの行ベクトルまたは列ベクトルが互いに直交する単位ベクトルである行列だ。複素数行列に拡張した場合は、ユニタリ行列と呼ばれる。直交行列の具体的な例には、回転行列がある。2次元平面上のベクトルを反時計回りにθ\thetaだけ回転させる変換は以下のようになる。

A=[cosθsinθsinθcosθ] A = \begin{bmatrix} \cos \theta & -\sin \theta \\ \sin \theta & \cos \theta \end{bmatrix}

下の式により、回転変換は任意のθ\thetaに対して直交行列であることがわかる。

ATA=[cosθsinθsinθcosθ][cosθsinθsinθcosθ]=[1001]=I A^{T} A = \begin{bmatrix} \cos \theta & -\sin \theta \\ \sin \theta & \cos \theta \end{bmatrix} \begin{bmatrix} \cos \theta & \sin \theta \\ -\sin \theta & \cos \theta \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1 \end{bmatrix} = I

性質

  • 直交行列の転置も直交行列である。

  • 直交行列の逆行列は直交行列である。

  • 二つの直交行列の積は直交行列である。

  • 直交行列の行列式は11または1-1である。

det(A)=±1 \det(A)=\pm 1

直交行列の同値条件

n×nn \times n実数行列AAについて、以下の命題はすべて同値である。

  • AAは直交行列である。

  • AAの行ベクトルの集合はRn\mathbb{R}^n正規直交集合である。

  • AAの列ベクトルの集合はRn\mathbb{R}^nの正規直交集合である。

  • AA内積を保存する。つまり、すべてのx,yRn\mathbf{x},\mathbf{y}\in \mathbb{R}^{n}に対して以下が成り立つ。

(Ax)(Ay)=xy (A \mathbf{x}) \cdot (A\mathbf{y}) = \mathbf{x} \cdot \mathbf{y}

  • AA長さを保存する。つまり、すべてのxRn\mathbf{x}\in \mathbb{R}^{n}に対して以下が成り立つ。

Ax=x \left\| A \mathbf{x} \right\| = \left\| \mathbf{x} \right\|