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ホリング型関数反応 📂動力学

ホリング型関数反応

概要

生態系eco systemをモデル化する常微分方程式などで捕食者と被食者間に適用される質量作用の法則関数の形として仮定する場合、一般的に関数型応答functional responseと呼ぶ。普遍的に被食者密度prey density xx に対して単位捕食者あたりの被食者消費量number of per consumed by unit predator f(x)f(x) が関数で表現される。次の3つのうちいずれかを採択し、これらをホリングタイプHolling’s type 1、2、3と呼ぶ。

説明

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第1型

ホリングタイプ1関数型応答は次のように線形関数で定義される。 f(x)=ax f(x) = a x ここでパラメーター aa発見率discovery rateである。第1型応答は生態系モデルの中で最も基本的でよく知られたロトカ–ボルテラモデルで見られる。 x˙=rxaxy=rxf(x)yy˙=bxymy \begin{align*} \dot{x} =& rx - axy = rx - f(x)y \\ \dot{y} =& bxy - my \end{align*} この時、f(x)f(x) は被食者が多いほど見つけやすく、被食者の密度に正比例するという常識的な仮定から導出される。

第2型

ホリングタイプ2関数型応答は次のようなシグモイド関数で定義される。 f(x)=ax1+abx f(x) = {\frac{ ax }{ 1 + abx }} ここでパラメーター bb処理率handling rateであり、第1型応答で捕食活動が被食者の密度に応じて無限増加できるという非現実的仮定の代わりに、より現実的に捕食者にも餌を殺し、消化するなどの時間が必要なことを表現している。それに伴い、従来の第1型から f(x)=axf(x) = ax で定義された無制限の消費量は abxf(x)a b x f(x) の損失を被り、 f(x)=axabxf(x) f(x) = ax - a b x f(x) のように示される。この式をf(x)f(x) に対して整理すると第2型応答関数が得られる。一方で分数形の関数で処理速度 bb が非常に速い場合、分母が 11 に近づき第1型に収束することが確認できる。つまり、第2型は極限のセンスで第1型の一般化である。 limbax1+abx=ax \lim_{b \to \infty} {\frac{ ax }{ 1 + abx }} = ax 第2型応答が用いられる代表的な例としてはキャーリック食物連鎖システムがある。

第3型

ホリングタイプ3関数型応答は次のように第2型関数で xxxkx^{k} に置換することで定義される。 f(x)=axk1+abxk f(x) = {\frac{ ax^{k} }{ 1 + abx^{k} }} ここでパラメーター k>1k > 1 は捕食者集団の学習などにモチベーションをおいており、被食者 xx が少ない状況では学習速度も遅いため f(x)f(x) もずっと小さい値を持つが、被食者 xx が多い状況では捕食活動の機会が増え、f(x)f(x) も相対的に大きくなる。第2型が第1型の一般化であったように、第3型は k=1k = 1 である第2型の一般化でもある。

ダウェズDawesの論文1では完全グラフ上で被食者と捕食者が他のすべてのノードと相互作用できるという仮定の下で平均場理論mean field theoryを通じて常微分方程式を導出する方法で見つけられる。この時、kk は捕食者が被食者について把握できる程度の十分に大きい数と見なされる。つまり、kk が大きいということは、それだけ捕食者が被食者を多く経験しなければならないことを意味する。これは第2型応答においてすべての捕食者が本能的に捕食活動をうまくできるという非現実的仮定の代わりに、より現実的に捕食者も学習過程が必要であることを表現している。


  1. Dawes, J. H. P., & Souza, M. (2013). A derivation of Holling’s type I, II and III functional responses in predator–prey systems. Journal of theoretical biology, 327, 11-22. https://doi.org/10.1016/j.jtbi.2013.02.017 ↩︎