コーシー応力テンソル
定義 1

主に物理学で、応力を成分として持ち、次のように定義される正方行列 $\mathbf{\sigma} \in \mathbb{R}^{3 \times 3}$ を コーシー応力テンソルCauchy stress tensorという。 $$ \sigma = \begin{bmatrix} \sigma_{11} & \sigma_{12} & \sigma_{13} \\ \sigma_{21} & \sigma_{22} & \sigma_{23} \\ \sigma_{31} & \sigma_{32} & \sigma_{33} \end{bmatrix} $$
説明
一点に作用する応力とはいえ、面に沿って働く力であるせん断応力shear stressが含まれるため、$\sigma$ は定義にあるように一般性を失わずごく小さな微小体積をもつ六面体と考えるのが便利だ。
等方性
主に流体力学の文脈では、流体は等方性isotropyを持ち、どの方向でも作用する力が等しいと仮定する。等方性は必ずしも流体力学だけの概念ではなく、方向を無視する仮定を置く場面では常に出会う仮定だ。
対角成分 $\sigma_{11} , \sigma_{22} , \sigma_{33}$ は三つの次元でそれぞれ作用する垂直応力として考え、等方性を仮定して一定の 静水圧hydrostatic pressure $p$ が加わるならば $\sigma$ の対角和は次を満たす。 $$ \tr \left( \sigma \right) = \sigma_{11} + \sigma_{22} + \sigma_{33} = - 3 p $$
ここで $3p$ ではなく $-3p$ である理由は、物体に加わる力の向きが内向きであるためだ。圧力以外の応力がなければ、コーシー応力テンソルは単位行列 $I$ に関して次のように簡単に表される。 $$ \sigma = \begin{bmatrix} -p & 0 & 0 \\ 0 & -p & 0 \\ 0 & 0 & -p \end{bmatrix} = - p I $$
