logo

双曲線の光学的特性の証明 📂幾何学

双曲線の光学的特性の証明

定理

alt text

双曲線上の点 $P$ と二つの焦点 $F_{1}, F_{2}$ について、$P$ における接線と $\overline{PF_{1}}$、$\overline{PF_{2}}$ がなす角の大きさをそれぞれ $\alpha$ と $\beta$ とすると、$\alpha$ と $\beta$ は等しい。

説明

簡単に言えば、双曲線の一方の焦点から出た光が反射すると、もう一方の焦点から来たものと同じ方向に進むということだ。

応用としては、双曲面で構成される補助鏡を用いて望遠鏡を作ることや、二つの基地局から送られた電波の到達時間差を利用して船の位置を把握する航法システムなどがある。

証明

かなり調べたが、放物線の光学的性質の証明で紹介した方法で証明するのが最もすっきりしていて、それ以外に妙案はなかった。かろうじてこれまで見た代案の中で補助定理の要求が最も少ない証明を見つけ、空白部分を補強した1

Part 1.

$$ {\frac{ x^{2} }{ a^{2} }} - {\frac{ y^{2} }{ b^{2} }} = 1 $$
一般性を失わずにこの双曲線が上のような方程式で表されると仮定する。焦点の座標をそれぞれ $c^{2} = a^{2} + b^{2}$ に対して $F_{1} = (-c, 0)$、$F_{2} = (c, 0)$ であり $P = \left( x_{0} , y_{0} \right)$ とすると、$P$ における接線の方程式は $x_{0} x / a^{2} - y_{0} y / b^{2} = 1$ であり、$y = 0$ を代入して $Q = \left( a^{2} / x_{0} , 0 \right)$ を得られる。これによれば $Q$ から焦点までの長さは次のとおりである。
$$ \begin{align*} \overline{Q F_{1}} =& c + {\frac{ a^{2} }{ x_{0} }} \\ \overline{Q F_{2}} =& c - {\frac{ a^{2} }{ x_{0} }} \end{align*} $$

alt text

$$ \begin{align*} \overline{P F_{1}} =& \sqrt{ \left( x_{0} + c \right)^{2} + y_{0}^{2} } \\ \overline{P F_{2}} =& \sqrt{ \left( x_{0} - c \right)^{2} + y_{0}^{2} } \end{align*} $$
$P$ は双曲線上の点だから $y_{0}^{2} = \left( b/a \right)^{2} \left( x_{0}^{2} - a^{2} \right)$ であり、これを用いて線分の長さの二乗を次のように計算できる。
$$ \begin{align*} & \left( x_{0} \pm c \right)^{2} + y_{0}^{2} \\ =& \left( x_{0} \pm c \right)^{2} + \left( b/a \right)^{2} \left( x_{0}^{2} - a^{2} \right) \\ =& \left( 1 + {\frac{ b^{2} }{ a^{2} }} \right) x_{0}^{2} \pm 2 c x_{0} + c^{2} - b^{2} \\ =& \left( {\frac{ c^{2} }{ a^{2} }} \right) x_{0}^{2} \pm 2 c x_{0} + a^{2} \\ =& \left( {\frac{ c }{ a }} x_{0} \pm a \right)^{2} \\ =& {\frac{ x_{0}^{2} }{ a^{2} }} \left( c \pm {\frac{ a }{ x_{0} }} \right)^{2} \end{align*} $$

二乗でまとめられた二番目の項は $Q$ から焦点までの距離なので、その定数倍として表される。
$$ \begin{align*} \overline{P F_{1}} =& {\frac{ x_{0} }{ a }} \left( c + {\frac{ a^{2} }{ x_{0} }} \right) = {\frac{ x_{0} }{ a }} \overline{Q F_{1}} \\ \overline{P F_{2}} =& {\frac{ x_{0} }{ a }} \left( c - {\frac{ a^{2} }{ x_{0} }} \right) = {\frac{ x_{0} }{ a }} \overline{Q F_{2}} \end{align*} $$

通常はここで $\overline{PQ}$ が角の二等分線であると主張して証明を終えるが、そうした補助定理を用いないことがこの証明の肝要である。


Part 2.

alt text

まず $P$ における接線が $x$ 軸と交わる点を $Q$ とし、$F_{1}$ と $F_{2}$ から接線に下した垂線の足をそれぞれ $R_{1}$ と $R_{2}$ とすると、こうしてできる二つの三角形 $\triangle{F_{1}QR_{1}}$ と $\triangle{F_{2}QR_{2}}$ は相似であり、次を得る。
$$ {\frac{ \overline{R_{1} F_{1}} }{ \overline{R_{2} F_{2}} }} = {\frac{ \overline{Q F_{1}} }{ \overline{Q F_{2}} }} $$
Part 1で得た結果に従って次の等式が成立する。
$$ {\frac{ \overline{R_{1} F_{1}} }{ \overline{R_{2} F_{2}} }} = {\frac{ \overline{Q F_{1}} }{ \overline{Q F_{2}} }} = {\frac{ \overline{P F_{1}} }{ \overline{P F_{2}} }} $$


Part 3.

alt text

二つの三角形 $\triangle{P F_{1} R_{1}}$ と $\triangle{P F_{2} R_{2}}$ は相似であり、$\alpha$ と $\beta$ が等しいことがわかる。

関連項目