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対称実数行列の全ての固有値が0または1である場合、それが冪等行列であることを証明 📂行列代数

対称実数行列の全ての固有値が0または1である場合、それが冪等行列であることを証明

定理

対称行列 ARn×nA \in \mathbb{R}^{n \times n}固有値がすべて 00 または 11 である場合、AA冪等行列である。

説明

この補助定理は正規分布のランダムベクトル二次形式のカイ二乗性の同値条件の証明およびコックランの定理の証明に使われる。

逆は成り立たない。

証明

スペクトル理論: もし AAエルミート行列であれば、ユニタリー対角化が可能である。 A=A    A=QΛQ A = A^{\ast} \implies A = Q \Lambda Q^{\ast}

実数行列 ARn×nA \in \mathbb{R}^{n \times n} が対称行列であればエルミート行列だから、対角化が可能である。AA の固有値で構成された対角行列 Λ\Lambdaユニタリ行列 Q=Q=QTQ = Q^{\ast} = Q^{T} について A=QΛQTA = Q \Lambda Q^{T} とおくと次が得られる。 A2=(QΛQT)(QΛQT)=QΛ2QT A^{2} = \left( Q \Lambda Q^{T} \right) \left( Q \Lambda Q^{T} \right) = Q \Lambda^{2} Q^{T} ところで対角行列 Λ\Lambda は主対角成分として 0011 のみを持つので Λ2=Λ\Lambda^{2} = \Lambda であり、次のようにして AA は冪等行列であることがわかる。 A2=QΛ2QT=QΛQT=A A^{2} = Q \Lambda^{2} Q^{T} = Q \Lambda Q^{T} = A