正定値行列の固有値と二次形式の最大値
📂線形代数正定値行列の固有値と二次形式の最大値
定理
正定値行列 A∈Rp×p の 固有対 {(λk,ek)}k=1n が λ1≥⋯≥λn≥0 の順に並んでいるとする。単位球unit Sphere 上での 二次形式 xTAx の最大値と最小値は次の通りである。
∥x∥=1maxxTAx=∥x∥=1minxTAx=λ1λp, attained when x=e1, attained when x=ep
一方で k=2,⋯,p−1 について次が成り立つ。
∥x∥=1x⊥e1,⋯,ek−1maxxTAx=λk, attained when x=ek
説明
与えられた定理は、∥x∥=1 を満たすベクトル、つまり単位球上の x に対する 二次形式 が 固有値 とどのような関係にあるのかを説明している。特に、最後の公式は、解空間で (k−1) 番目までの 固有ベクトル を除外した場合、二次形式の 最大値 が具体的に λk と一致することを示している。
証明
特定の x=0 に対して、x1=x/xTx とおくと ∥x1∥=1 となり、
xTxxTAx=x1TAx1
したがって、証明では∥x∥=1 という条件をそのまま使うのではなく、xTxxTBx を直接扱うことにしよう。
パート1. maxxTAx=λ1
正定値行列の平方根行列: 正定値行列 A の 固有対 {(λk,ek)}k=1n が λ1>⋯>λn>0 の順で並んでいるとする。直行行列 P=[e1⋯en]∈Rn×n と 対角行列 Λ=diag(λ1,⋯,λn) に対して、A の 平方根行列 A は次の通りである。
A=PΛPT=k=1∑nλkekekT
上記の定義で言及されたように、直行行列 P と 対角行列 Λ が定義されているとすると、ベクトル y∈Rp を
y=(y1,⋯,yp):=PTx
のように設定する。これにより、
x=0⟹y=0
となり、したがって 単位行列 I∈Rp×p に対して次が成り立つ。
=====≤=xTxxTAxxTIxxTAAxxTPPTxxTPΛPTPΛPTxyTyyTΛIΛyyTyyTΛy∑i=1pyi2∑i=1pλiyi2λ1∑i=1pyi2∑i=1pyi2λ1⋯⋆
P=[e1⋯en] であり、異なる i=j に対しては eiTej=0、インデックスが同じ場合は eiTei=1 なので、もし x=e1 を選ぶと、
y=PTe1=10⋮0=e1
となり、したがって、
===xTxxTAxyTyyTΛye1Te1e1TΛe1λ1
となる。したがって、
∥x∥=1maxxTAx=λ1, attained when x=e1
同様の方法で最小値も次のように求めることができる。⋆ と示された展開で、λ1 が λp になり、不等式の向きが逆になる。
∥x∥=1minxTAx=λp, attained when x=ep
パート2. maxx⊥e1,⋯,ek−1xTAx=λk
y が y=PTx として定義され、P が直行行列であるため、Py=x となる。この x は固有ベクトル e1,⋯,ep によって次のように表すことができる。
x==Pyy1e1+y2e2+⋯+ypep
x⊥e1,⋯,ek−1 とすると、i<k のすべての ei に対する 内積 は、
0====eiTxy1eiTe1+y2eiTe2+⋯+ypeiTepyieiTeiyi
となる。これにより、パート1で出てきた ⋆ を再度見ると、
xTxxTAx=∑i=kpyi2∑i=kpλiyi2≤λk∑i=kpyi2∑i=kpyi2
yk=1 と yk+1=⋯=yp=0 を設定した場合、つまり x=∑i=1pyiei=ek の時、最大値が得られる。
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