動力学におけるアトピー性皮膚炎システム
📂動力学動力学におけるアトピー性皮膚炎システム
モデル
以下のノンスムースダイナミックシステムをアトピー性皮膚炎システムと呼ぶ。
dtdP(t)=dtdB(t)=dtdD(t)=1+γBB(t)PenvκP−αIR(t)P(t)−δPP(t)[1+γRR(t)][1+γGG(t)]κB[1−B(t)]−δBK(t)B(t)κDR(t)−δDD(t)
このシステムは、2種類のスイッチ、可逆スイッチRと不可逆スイッチGによって制御される。
R(t)=G(t)={RoffRon,if P(t)<P− or P−≤P(t)≤P+,R(t−dt)=Roff,if P(t)>P+ or P−≤P(t)≤P+,R(t−dt)=Ron{GoffGon,if D(t)<D+ and G(t−dt)=Goff,if D(t)≥D+ or G(t−dt)=Gon
ここで、dt≈0は非常に短い時間間隔を表す。R-スイッチによって、K(t)は次のように与えられる。
K(t)={KoffmonP(t)−βon,if R(t)=Roff,if R(t)=Ron
変数
- P(t):侵入した病原体の量である。与えられた環境Penvの影響を受け、皮膚のバリアが強いほど侵入量が減少する。
- B(t)∈[0,1]:バリアの強さである。1に近いほど皮膚の状態が良く、0に近いほど皮膚の状態が悪いことを意味する。
- D(t):リンパ節内の樹状細胞の濃度である。この値があるレベルを超えると、G-スイッチがオンになる。
- R(t):R-スイッチを特徴づける受容体の感度である。病原体P(t)があるレベルを超えるとオンになり、P(t)を減少させる役割を果たし、またK(t)も作用して皮膚のバリアにダメージを与える。P(t)があるレベル以下に減少すると、再びオフになるため可逆的なスイッチである。
- G(t):免疫調節に関与する**G-スイッチ**である。D(t)が扱うことができる限界であるD+を超えるとオンになり、再びはオフにならない。G-スイッチがオンになると、皮膚のバリア回復能力に永続的な悪影響が与えられることになる。
- K(t):プラズマからキニンを放出する酵素であるカリクレインの量である。R-スイッチがオンになると活性化され、皮膚のバリアにダメージを与える。
パラメータ

説明
アトピー性皮膚炎またはアトピー性湿疹の数理モデリングは、Elisa Domínguez-Hüttingerらによる論文で提案されたもので、Journal of Allergy and Clinical Immunology(JACI)に掲載され、その後も田中グループによる継続的な研究の対象となっており、韓国では、カンヨセフ博士らにより活発に研究されている。
2つのスイッチ

R-スイッチとG-スイッチは、数式で見ると複雑に見えるかもしれないが、上のように図で描くと単純な形をしている。PとDの値だけでなく、その時点でのスイッチの状態によっても異なるため、ADシステムは厳密にはベクターフィールドで定義されず、ピースワイズスムースシステムになる。2つのスイッチのオン/オフの状態によって、4つの場合があり、それぞれを4つのスムースなサブシステムとして表現することもできる。
S1-サブシステム:Roff、Goff
dtdP(t)=dtdB(t)=dtdD(t)=1+γBB(t)PenvκP−δPP(t)κB[1−B(t)]−δDD(t)
S2-サブシステム:Roff、Gon
dtdP(t)=dtdB(t)=dtdD(t)=1+γBB(t)PenvκP−δPP(t)[1+γGGon]κB[1−B(t)]−δDD(t)
S3-サブシステム:Ron、Goff
dtdP(t)=dtdB(t)=dtdD(t)=1+γBB(t)PenvκP−αIRon(t)P(t)−δPP(t)[1+γRRon(t)]κB[1−B(t)]−δB(monP(t)−βon)B(t)κDRon(t)−δDD(t)
S4-サブシステム:Ron、Gon
dtdP(t)=dtdB(t)=dtdD(t)=1+γBB(t)PenvκP−αIRon(t)P(t)−δPP(t)[1+γRRon(t)][1+γGGon(t)]κB[1−B(t)]−δB(monP(t)−βon)B(t)κDRon(t)−δDD(t)
バイファーケーション

2つのパラメータ、バリア透過率κPと免疫応答αIに対するコディメンジョン-2バイファーケーションダイアグラムは、上のようである。ダイアグラムの4つの領域内の各タイムエボリューションは、大まかに4つのタイプに分けることができる。

- (1) 皮膚のバリアが完全に回復する安定点に収束するt→∞limB(t)=1
- (4) 皮膚のバリアが慢性的なダメージを受けた安定点に収束するt→∞limB(t)=0
- (2) 初期条件によって、回復するか慢性ダメージを受けるかの二重安定性
- (3) [0,1]とB(t)の間で、皮膚のバリアが良くなったり悪くなったりを繰り返す振動
これは、生まれながらの条件κP、αIと与えられた条件に基づいて、アトピーの進行を動的に分析したものと見ることができる。後続の研究では、このバイファーケーションダイアグラムをもう少し細かく描いたり、振動が軽度と重度に分かれるなど、精密な分析が行われている。