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トェプリッツ行列はエルミート行列である 📂行列代数

トェプリッツ行列はエルミート行列である

証明

正定値行列 $A \in \mathbb{C}^{n \times n}$ は エルミート行列だ。もちろん、半正定値行列もエルミート行列だ。

証明 1

$$ \mathbf{x}^{\ast} A \mathbf{x} = \lambda $$ $A$ が正定値行列ならば、全ての $\mathbf{x} \in \mathbb{C}^{n}$ に対して、二次形式 $\mathbf{x}^{\ast} A \mathbf{x}$ はある実数 $\lambda \in \mathbb{R}$ として上のように表される。両辺に 共役転置を取れば、$\lambda \in \mathbb{R}$ の複素共役はそのままの $\overline{\lambda} = \lambda$ なので、次を得る。 $$ \begin{align*} & \mathbf{x}^{\ast} A \mathbf{x} = \lambda \\ \implies & \mathbf{x}^{\ast} A^{\ast} \mathbf{x} = \overline{\lambda} = \lambda \\ \implies & \mathbf{x}^{\ast} \left( A - A^{\ast} \right) \mathbf{x} = 0 \end{align*} $$

二次形式が0になるための必要十分条件: 全ての $\mathbf{x} \in \mathbb{C}^{n}$ に対して、二次形式 $\mathbf{x}^{\ast} A \mathbf{x}$ が $0$ になるための必要十分条件は、$A$ が零行列であることだ: $$ \mathbf{x}^{*} A \mathbf{x} = 0 , \forall \mathbf{x} \in \mathbb{C}^{n} \iff A = O $$

$\left( A - A^{\ast} \right) = O$ なので、$A$ はエルミート行列だ。


証明過程で、$\lambda$ に共役を取る点を見ると、正定値であろうと半正定値であろうと特に関係ないことが分かる。