微分包含の定義
📂動力学微分包含の定義
定義
微分包含式
多価写像、または集合値写像multivalued mapping F:Rn→Rn において、x∈Rn での微分 x˙=dx/dt が集合 F(x) の要素の一つであることを示す式を 微分包含式differential inclusionsという。
x˙∈F(x)
フィリポフの微分包含式
f:Rn→Rn が有界な関数とするとき、初期時刻 t0∈R と初期点 x0∈Rn に対して次のように定義される微分包含式を フィリポフの微分包含式Filippov differential inclusions という。
x˙(t)x(t0)F(X)∈F(x)=x0=ε>0⋂conv{f(B(x;ε))}
ここで、B(x;ε) は開球、convX は X の凸包、X は X の閉包である。
説明
微分包含式は、特に力学系の文脈においては、各x∈Rn ごとに単一のベクトルとなりベクトル場にならないノンスムーズシステムの一般的な形と見なすことができる、常微分方程式の一般化である。
解の存在性
フィリポフの定理: 全ての初期値x(t0)=x0 に対して、フィリポフの微分包含式は解を持つ。
フィリポフの微分包含式に対する解の存在性は既に知られている。 この定理は、全てのノンスムーズ微分方程式が解を必ず持つわけではないという点で重要である。例えば、符号関数 sign と a∈(0,1) とすると、次の微分方程式は初期条件x0=0 に対して解が存在しない。
x˙(t)x(t0)=a−sign(x(t))=x0