二次形式が0になるための必要十分条件
📂線形代数二次形式が0になるための必要十分条件
定理
行列の形
A∈Cn×nが行列を表し、x∈Cnがベクトルを表すとする。
すべてのx∈Cnに対して二次形式x∗Axが0になるための必要十分条件は、Aが零行列であることである:
x∗Ax=0,∀x∈Cn⟺A=O
線形変換の形
(V,C)が有限次元複素内積空間であるとき、T:V→Vが線形変換を表し、v∈Vがベクトルを表すとする。
すべてのv∈Vに対して二次形式⟨Tv,v⟩が0になるための必要十分条件は、Tが零変換T0であることである:
⟨Tv,v⟩=0,∀v∈V⟺T=T0
- X∗はXの共役転置行列である。
- ⟨⋅,⋅⟩は内積である。
証明
両方の形での証明は本質的に同じであるため、参考文献にはない行列の形のみ示される。
(⟹)
A=Oと仮定し、背理法を使う。
x∗Ax=0が成立するということは、両側に任意のスカラー λ∈Cを掛けてもλx∗Ax=0となるということである。これが全てのxに対して成立するということは、xがAの固有値λに対応する固有ベクトルである場合も適用されるということで、行列内積で表された場合
===0λx∗Ax(λx)∗(Ax)(λx)⋅(λx)
内積の正定値性v⋅v=0⟺v=0により、Aのすべての固有値は0でなければならない。
冪零行列と固有値:正方行列 A∈Rn×nのすべての固有値が0で、Aが冪零行列であることは同値である。
つまり、Aは冪零行列である。一方、A=Oの場合、ゼロでない何らかのy=0に対してy=Axを満たすベクトルx∈Cnが少なくとも一つ存在しなければならない。既にAが冪零行列であることを示したので、一般性を失わずにAy=0とすると
=======0(x+y)∗A(x+y)(x+y)∗(Ax+Ay)(x+y)∗(y+0)(x∗+y∗)yx∗y+y∗yx∗Ax+y∗y0+y∗y∵0=z∗Az,∀z∈Cn∵y=Ax⟹x∗y=x∗Ax
となる。つまりy⋅y=0であるが、もう一度内積の正定値性に従い、y=0でなければならないが、これはy=0としてのyの定義に矛盾する。結論として、A=Oを得る。
(⟸)
自明である。
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