行列式
📂行列代数行列式
定義
Aを次のような2×2 行列としよう。
A=[acbd]
Aの行列式determinantを以下のように定義し、det(A)で表す。
det(A):=ad−bc
説明
行列式を話す上で、線形代数の目的自体を話さずにはいられない。ほとんどの数学で言う問題は基本的に「方程式を解けるか」と要約できると言っても過言ではない。例えば、簡単な方程式
ax=b
を考えてみれば、a=0が0でない限り、この方程式には解があることが簡単にわかる。二次方程式
ax2+bx+c=0
も解の公式を通じて簡単に解ける。こうして、数学者たちはxの次数を上げながら、より一層難しい問題に挑戦した。しかし、不運な天才アーベルによって「5次以上の代数方程式は一般解を持たない」と証明されてしまう。
一方、代数の次元を上げる代わりに未知数や方程式の数そのものを増やして研究する道が残されていた。ここで行列式が登場する。韓国語で見れば、行列が出来た後行列式が出来たように見えるかもしれないが、実はそうではない。歴史的に行列式は行列が登場する前に先に登場したし、実際に英語を見るとdeterminantとmatrixは特に関連がない。determinantという名前は次のような未知数が2つある連立一次方程式の解が存在するか、存在しないかを判別してくれる公式だから付けられた名前だ。
{ax+bycx+dy=0=0
上記のような連立方程式が与えられた時ad−bc=0ならば唯一の自明解しか存在せず、ad−bc=0ならば非自明な唯一の解を持つことになる。したがって、ad−bcが与えられた連立方程式の解があるかないかを判別してくれる公式となるため、判別式という名前が付けられたのだ。
しかし、ご存知のように連立方程式は行列の形で表現できる。「簡単な」連立方程式は次のように表現できる。
Ax=b
ax=bの解がx=abだったことをよく考えてみよう。a1はaの逆元なので、両辺にかけるだけでxだけを残すことができた。解が存在する条件と結びつけて言えば、a=0は逆元が存在しないのでax=bの解も存在しないことになる。同様に、Ax=bもAの逆行列を求めることができるかの問題に帰着される。Aによって表される線形システムの解の存在自体がAの逆行列の存在であり、この逆元を求めることが解を求めることになる。この時、Aの逆行列が存在する条件とAによって表される線形システムが唯一の解を持つ条件が同じであることがわかる。
A=[acbd]の逆行列は次のようだ。
A−1=ad−bc1[d−c−ba]
これは単純にAとA−1を直接掛け合わせて証明される。もしdet(A)=ad−bc=0ならば、行列の形状に関係なく、A−1の前の定数が01となるので、逆行列が存在できない。可逆性invertibilityをたまに非特異性nonsingularityと呼ぶのもこのためだ。singularという言葉は「特異的な」と訳されるが、数学的に言えば「0で割る」くらいの感じになる。
一方、n×n個の実数を1個の実数にマッピングする関数の観点から行列式を見れば、次のように定義することができる。
定義
関数det:Rn×n→Rが次の条件を満たすならば、行列式と定義する。
- 単位行列Inに対して、det(In)=1
- 1≤i,j≤nに対して、detr1⋮ri⋮rj⋮rn=−detr1⋮rj⋮ri⋮rn
- detkr1+lr1′⋮rn=kdetr1⋮rn+ldetr1′⋮rn
説明
このように行列式を一般化すると、連立方程式の解が存在するか存在しないかを話すことがずっと簡単になるだろう。そして、このような議論が一行で完結したものがちょうど下の定理だ。
∀A∈Cn×n,∃A−1⟺detA=0
定理と言うよりほぼ定義のレベルで受け入れられるほど当たり前の事実だ。しかし、なぜこの定理が残るのか、本当に当たり前なのかきちんと説明できないなら、行列式を理解していないのと同じだ。特に行列式の場合は、定義よりも概念が先行するため、理解できなければ、時間をかけても知っておくべきだ。