フォン・ミーゼス分布
📂確率分布論フォン・ミーゼス分布
定義
平均方向mean Direction μ∈R と 集中concentration κ>0 に関して以下の確率密度関数を持つ連続確率分布 vM(μ,κ) を フォン・ミーゼス分布von Mises distributionと言う。
f(x)=2πI0(κ)1exp(κcos(x−μ)),x∈R(mod2π)
説明
フォン・ミーゼス分布は方向統計学で出会う最もシンプルな分布であり、円 S1上でサンプリングされたデータを表す。円形正規分布circular Normal distribution や ティホノフ分布tikhonov distributionとも呼ばれるものである。
式において、指数関数 expからのサンプリング確率は∞ に近いほど高く、−∞ に近いほど低くなり、これはcos(x−μ) によって自然に決まる。x≈μ、すなわち平均方向に近い場所はcos≈1 となり、よく引かれるが、逆方向の場合は非常に低い確率を持つ。
集中 κ は散布度の反対で、高いほど平均方向の確率が高くなる。
フォン・ミーゼス分布の一般化には、次元を上げたフォン・ミーゼス・フィッシャー分布、トーラスに拡張した二変量フォン・ミーゼス分布、8つのパラメーターを使用するフォン・ミーゼス・ビンガム分布fisher-Bingham distribution、そして5つのパラメーターだけを使用するケント分布などが知られている。
定理
以下はフォン・ミーゼス分布を円形正規分布と呼ぶことが適切である理由に関するまとめである。κ が十分に大きいという仮定は、μ の近くに確率が集中していることを意味し、S1 を広範囲にわたって使わずにμ の近傍だけから抽出することで、その接線上の正規分布とほぼ同じになる。これはLAN(Local Asymptotic Normality)とも言われる。
円形正規分布
十分に大きいκ=σ−2 に対して、f(x) は正規分布の確率密度関数に近似する。
f(x)≈σ2π1exp[2σ2−(x−μ)2]
証明
コサイン関数のテイラー展開:
cosx=0!1−2!x2+4!x4−6!x6+⋯
κ が十分に大きいと仮定すると、μ の近傍でのコサインのテイラー展開の第3項以降を落として得られる。
f(x)=≈=2πI0(κ)1exp(κcos(x−μ))2πI0(κ)1exp(κ[1−2(x−μ)2])2πI0(κ)1eκexp(−2σ2(x−μ)2)
一方で、π=3.141592⋯ は κ=1 と見なしても標準正規分布のz0.99=2.58⋯ よりはるかに大きいため、κ が十分に大きいという仮定の下で、I0(κ) も
2πI0(κ)==≈===∫−ππexp(κcos(x−μ))dx∫−ππexp(κcost)dt∫−∞∞exp(κ−2σ2t2)dteκ∫−∞∞exp(−2σ2t2)dtσ2πeκ∫−∞∞σ2π1exp(−2σ2t2)dtσ2πeκ
次の近似式を得る。
f(x)≈σ2π1exp[2σ2−(x−μ)2]
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