複素平面における実数軸の非開集合性
📂複素解析複素平面における実数軸の非開集合性
定理
R∘=R⊂C
実数軸R⊂Cは、複素平面Cでオープンではない。
説明
したがって、実数軸は複素空間で複素領域ではない。R から R がオープンという点を考えると、直感と異なる結果となるかもしれない。これは、集合の開閉はそもそも与えられた位相空間によって変わる相対的な概念であるためである。
この事実が重要なのは、実際に実数関数で定義できるにも関わらず、複素関数の性質が変わるほとんどの理由を説明できるからである。複素解析の多くの定理は複素領域、つまり開かれた複素部分集合R⊂Cを条件として要求する。オープンという制約がなければR=Rと仮定でき、放置すると多くの問題を引き起こす。
以下の証明は、Rが単に「複素空間の部分集合である理由だけでは、真の複素領域にはなりえない」という事実を示唆し、「当然Rは複素空間と見なすことはできない」という直感を厳密に正当化する。
証明
複素解析でのオープンの定義:α∈Cであり、δ>0であり、S⊂Cとする。
- 次のような集合をαのオープンネイバーフッドまたはオープンボールと呼ぶ。
B(α;δ):={z∈C:∣z−α∣<δ}
- αのどんなオープンボールもSに含まれる場合、αはSの内点と呼ばれる。
∃δ:B(α,δ)⊂S
- Sの全ての点がSの内点である場合、Sはオープンと言い、SがSの全ての集積点を含む場合はクローズドと言う。
R内の一点でもRの内点でないことを示せば十分である。一般性を失わず、その点をα=0とすれば、そのオープンボールB(0,δ)は、どのような半径δ>0を選んでも、具体的には
z0=0+i2δ
程度は、必ず非実数の複素数z∈C∖Rを含む。言い換えると、0∈RはRの内点ではなく、CでRの全ての点がRの内点ではないため、RはCでオープンではない。
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一般化
曲線 γ⊂Cnは、多次元複素空間Cnでオープンではない。
証明過程での議論から、R1でない限りは、基本的に細いカーブ上のどの点を取っても周囲の点を含むため、実数軸と複素平面でなくても定理が成り立つことが分かる。