モノドロミー定理の証明
整理 1
$1$-スフィア $S^{1}$ において、点 $1 := (1,0)$ を起点とし、同値である二つのパス $f_{0} \simeq f_{1}$ が存在するとしよう。それぞれのリフトが $\widetilde{f}_{0}, \widetilde{f}_{1}$ が $\widetilde{f}_{0} (0) = \widetilde{f}_{1} (0)$ を満たす場合、$\widetilde{f}_{0} (1) = \widetilde{f}_{1} (1)$ である。
説明
$1 = (1,0)$
厳密に言うと、$1 = (1,0)$ は区別されなければならないが、便宜上、単位円 $S^{1}$ から $1$ であると単に言えば、$(1,0)$ 以外に言及することはない。実際、平面上に広がる垂直線を想像すれば、それほど遠くない記号である。 $$ \mathbb{R} \ni 1 = (1,0) \in \mathbb{R}^{2} $$
モノドロミー?
定理のステートメント自体が言っていることは、ホモトピックなパスのリフトは、起点が同じであれば終点も同じだということだけである。ただ、それが何を意味するのかは不明瞭である。
まず、ここで紹介されている モノドロミー定理 が $X = S^{1}$ に限定されていることに注目しよう。定理の条件では、リフトの起点が $0$ のとき、その終点が同じであるとしており、$\widetilde{X} = \mathbb{R}$ 内の螺旋で終点が同じであるということは、$\widetilde{f}_{0} (0) = \widetilde{f}_{1} (0)$ を基準として 何回転 したかが正確に同じであることを意味する。これにより、$S^{1}$ の基本群 $\pi_{1} \left( S^{1}, 1 \right)$ が整数群 $\mathbb{Z}$ と同型であることを示す際に重要な補助定理として使用される。
一方で、何回転したかという結論を導き出すために、モノドロミーという表現が登場する。リフトの終点は連続的だが、回転した回数は整数であるため、特異性が見えてくるが、モノドロミーがどのような意味か気にすることなく、これをモノドロミーと呼ぶのだと受け入れれば良い。
証明
ホモトピー・リフティング定理: 連続関数 $F : I^{2} \to S^{1}$ にはリフト $\widetilde{F} : I^{2} \to \mathbb{R}$ が存在する。特に、与えられた $x_{0} \in S^{1}$ と $\widetilde{x}_{0} \in p^{-1} \left( x_{0} \right)$ に対し、$\widetilde{F} \left( 0 , 0 \right) = \widetilde{x}_{0}$ である $\widetilde{F}$は一意に存在する。
$f_{0}$ と $f_{1}$ のホモトピーを $F$ とする。仮定とホモトピー・リフティング定理により、$\widetilde{F} (0,0) = \widetilde{f}_{0} (0) = \widetilde{f}_{1} (0)$ であるリフト $\widetilde{F} : I^{2} \to \mathbb{R}$ が一意に存在し、ホモトピックである $F(t,s)$ の定義により $$ \begin{align*} F (t,0) =& f_{0} (t) \\ F (t,1) =& f_{1} (t) \end{align*} \implies \begin{align*} \widetilde{F} (t,0) =& \widetilde{f}_{0} (t) \\ \widetilde{F} (t,1) =& \widetilde{f}_{1} (t) \end{align*} $$ であり、$F(1,t) = f_{0}(1) = f_{1}(1)$ であるため、$\widetilde{F} (1,t)$ は $\widetilde{f}_{0} (1)$ から $\widetilde{f}_{1} (1)$ までのパスである。しかし、 $$ \widetilde{F} (1,t) \in p^{-1} \left( f_{0} (1) \right) \simeq \mathbb{Z} $$ したがって、連続関数$\widetilde{F} (1,t)$、つまりパス $\widetilde{F} (1,t)$は定数関数であるしかない。結果、$\widetilde{f}_{0} (1) = \widetilde{f}_{1} (1)$である。
■
Kosniowski. (1980). A First Course in Algebraic Topology: p139. ↩︎